【銀魂】今日も傘屋は騒がしい【坂田銀時】

11 ページ12

.







「あー、なるほど......じゃねぇよ！！！ マゾヒズム製造薬ってなんだ！！！ 絶対原因これじゃねぇか！！！」





そんな俺のデカい声に反応したのか、店奥から不思議な顔をしたAが出てくる。





『旦那？ どうかしたんですか...
ってそれ、黄金の調味料！！
これ凄いんですよ！！ 一滴飲むだけで色々怒られた事とか嫌な事が全部気持ちよく思えてきて...』





「それ完全にマゾ化しちゃってるから！！！
効果ばっちり出ちゃってるから！！！」






キレよく突っ込んだところで、一度冷静になってみよう。


これは薬の影響...ということは、いつか必ず効果が切れる時がやってくるはず。
しかしそれがいつなのかは見当もつかない。

明日か、来週か、はたまた一ヶ月後か。

そんなに長く効果が続くとは思えないし思いたくもないが、やはりこのまま放っておくわけにもいかない。


早急に対策を練らなければ...






『まぁそんな事はどうでもいいんで、手錠と一緒にこのロープも使ってより凄まじくいたぶってください！』






先ほどより発言が過激になっているのも薬の影響だとしたら、なんて考えるだけで恐ろしい。


仮にも俺はS属性だ。
どこぞの忍者は論外だが、Mと一対一で接していて平常心で居られるはずがない。


必死に本能を抑え込んでいる俺の気持ちにもなってほしいもんだ。






「！...そうだ、アイツなら＿＿＿」





咄嗟に頭に思い浮かんだのは、俺を遥かに上回るあのサディストの顔。


どうにも頼りになるとは言い難い厄介な人物だが今は緊急時だ。
懐から携帯を取り出し、やむを得ず番号を打ち込んだ。






「...あ、もしもし総一郎君？
今ちょいとヤバくて＿＿＿そう、そこ。
マジで緊急だから頼むぜ...んじゃまた」





...確実とは言えないが、これでとりあえず同じSとして何かしら俺の本能への対策案は出る事だろう。


......問題は、それまでをどう凌ぐかどうか。






『...旦那、早く..
今すぐ痛めつけて、罵るなり蔑むなり好きなようにしてください.....』





まるで焦らされて我慢できないとでも言うかのように、くい、と俺の着物の袖を握る。
...あぁ、こういう時に限ってその仕草は卑怯だ。


思わず目の前の女に手をかけそうになる自身の腕をなんとか押さえ込み、何度も何度も言い聞かせる。


どうかアイツが来るまで耐えてくれ、と。

12→←10 薬には十分気を付けろ

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す