【Ｈ×H】長月のセレナーデ 2小節目【幻影旅団】 (ページ2)

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スラム街の娘ページ2

｢…え？｣
目が覚めたその日、私が見た空は。

｢…昼？｣

いつものように眠りにつき、目が覚めたそこは別の世界。そんな不思議な体験を繰り返し今日に至る。

が、初めての出来事だった。夜ではなく、昼に来てしまったのは。

｢…なあに、ここ…｣
もちろん旅団の皆もいないしクロロもいない。いつもなら、彼らのすぐそばに私は現れるらしいのだが。
｢…ちょっと、危なそうね…｣
少々治安が悪そうな街だった。身なりのよくない幼い子供たちが裸足でそこらを歩いている。

っていうか、ゴミだらけの街。ガラクタや、壊れた電化製品や、大量の粗大ゴミ。

｢まるでゴミ処理場ね…｣

ふと、誰かの強い視線を感じ、振り返れば小さな男の子がこっちを見ていた。

こんな幼い子まで…。

小さな手が私へと伸びる。その指先は、私の首元へと差し向けられた。

｢…え、これ？｣
これは、クロロからもらったネックレスだ。

もしかしたら、この子はお金になりそうなものを欲しているのかも知れない。食べ物は、今は私持っていないし。
｢ごめんね、これは大切なものだから…｣
そう言って、少し遠ざかる。

その時だった。
｢見つけたぞォ！！｣
男の声がした。驚いて振り返れば、黒ずくめの怪しげな男たちが。
｢このガキ！！舐めた真似しやがって！覚悟はできてんだろうなァ｣

そう叫ぶと、大の男の平手打ちが、小さな男の子を遥か遠くへ吹っ飛ばす。
｢…！！｣
思わず私はその子のそばに駆け寄った。
｢あなた、大丈夫…、っきゃあ！？｣
｢なんだこの女、このガキの仲間か…？｣
ふいに髪を掴まれて、引っ張りあげられる。…やばい抜ける禿げる痛い！
｢は、離して！｣
｢いや…、そんなわけねえか。随分とこの場所に似つかわしくない、カワイイお嬢さんだな｣
ブチッ、とネックレスを取り上げられる。
｢それは…！！｣
｢こういうのはなァ、価値の分かる人間が持つのが一番いい。そうだろぉ？｣
｢お願いそれを返して！｣
｢うるせえこのアバズレが！｣
耳元でどん、と叫ばれ鼓膜が悲鳴をあげて振動する。

｢おい、そのガキを片したら、こいつを縛り上げろっ！こりゃいい上玉だ。高値がつくぜ｣
｢…な、｣
別の男が、気を失った男の子をまるで野良猫をひっ掴むかのように、首元を持ち上げる。
｢やめて、その子を離しなさい！｣
｢おいおい自分の立場ってモンを分かっていないようだなァ嬢ちゃん！｣
小さな男の子は、まるでゴミでも捨てるかのように、薄汚れた布袋に入れられた。