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「あ!あかーし!遅いぞ!」

「何言ってるんですか。
部誌の記入はそもそもあなたの仕事でしょう」

「う゛、だって俺より赤葦のが得意だし…」






会話から察するに、
本来主将である光くんの仕事であろう
部誌記入をしてきた赤葦先輩は、


短いため息をついて、
そのまま目線を上げて、


わたしを見つけた。






『お、お疲れ様です』

「ああ、うん、ありがとう」

『…』

「…」






無表情。静かな目線。

それは変わらないけど、
でも、入学式の時のような怖さは感じなかった。



それはきっと、
光くんとのあのセットアップを、
あの時の笑顔を見たから。


嬉しそうな、楽しそうな、
それでいて、どこか見覚えのある笑顔。






『あ、あの』

「じゃあ今日はAも一緒に帰ろうぜ!」

「お、いいじゃんラーメンでも食って帰る?」

「ラーメン!小見やんいいこと言うじゃねーか!」






赤葦先輩に何を言おうとしたのか、
自分でもわからなかった。


でも肩に回された光くんの腕に、
そのぬくもりに、我に返る。



あれよあれよと言う間に、
背中を押されて横一列で歩き出して。






「赤葦もラーメン行くだろ?」

「はい、もちろんです」

「いよっしゃ!決まりだな!」






ちらりと横目で見た赤葦先輩は、
また笑ってた。


光くんの隣で、光くんの言葉で、
嬉しそうに笑ってた。






『あ…』






その顔は、わたしがよく知ってるものだった。

もう何年だろう、毎日見てる表情。
毎日、光くんの隣でわたしがしてる表情。






『…なんだ』

「どうした?
A、赤葦と何かあったの?」

『ううん、光くんはすごいなぁって思って!』

「俺?何かわかんねーけど、A嬉しそうだな!」






赤葦先輩は、光くんが大好きなんだ。
だから、光くんの隣で大事なものを見るように笑うんだ。


わたしと一緒。

わたしがそうだったように、
きっと光くんが、赤葦先輩をそうさせてる。



そう思うと何だか嬉しくなって
光くんの隣を歩くことが誇らしく思えた。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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