大事なひと【木兎光太郎】【赤葦京治】

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ボールの落ちる音。
シューズが擦れる音。
大きく響くかけ声。


どれも光くんが好きなもの。

いつの間にか、わたしも好きになってたもの。






「よっしゃ俺ってさいこーう！！」






体育館の真ん中。
たかだかと拳を上げて叫ぶ光くんに、
思わず笑ってしまう。


けど、同時に気になってしまう周りの様子。



木葉くんに言われるがまま来た、
梟谷男子バレー部の見学。

全国常連の強豪チームで、
全国でも有名なエースがいて、
だから人気なのは知ってたけど。


まさかここまでとは。






「木兎先輩かっこいい〜！」

「ね！今日ずっと決めてるよね！」

「ガッツポーズしてるよ、可愛い〜！」






わたしの斜め後ろ。
可愛らしい女の子3人組。


さっきからずっとこんな調子だった。
光くんが決めるたび、キャーキャー叫ぶ。

目立つことが大好きな光くんは、
それでまた調子を上げる。



顔から表情がスッとなくなっていくのが
自分でもわかった。


…面白くない。






「木兎〜、今日いつになく調子いいじゃん」

「おう！A来てくれてるからな！」

「んだよ、気づいてたのかよ」

「Aさんがいてもいなくても、それくらい決めてくれると助かります」

「ちょ、あかーし厳しい！！」

「平常運転、赤葦」






コート内で、光くんと木葉くんと赤葦先輩が集まっている。
それを見て、またギャラリーがざわつく。



会話は聞こえないけれど、
光くんの楽しそうな様子が伝わってくる。

ニコニコの光くんを見ていると
こっちまで嬉しくなるから不思議。



女の子が光くんにキャーキャー言ってるので、
逆立っていた気持ちが鎮まっていく。

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