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きっと、こういうのも光くんの優しさ。
光くんは意識していないのかもしれないけど。




こんな優しさに、何回助けられて、何回励まされて。


何回夢中になったか、もう数え切れない。






「そういや、赤葦も来るかな」

『あ。赤葦先輩ならさっき会ったからもうすぐ来るかも』

「…ふーん、そっか!」






さっきの赤葦先輩を思い出す。


怖いと思っていた赤葦先輩。
光くんのことが大好きな赤葦先輩。




全然、怖くなんてなかった。

光くんの話に出てきてた通りの、優しい赤葦先輩だった。




隣でストレッチの続きをしている光くんは、
何だか体育館の入口を気にしてそわそわしている。



赤葦先輩を待っているのかもしれない。
だって、2人であんなプレーをするんだもん。



2人はまさに、相棒なんだ。






『赤葦先輩って、光くんの言ってた通りの人だね』

「うん?俺なんか言ったっけ?
つーかA、赤葦と何かあったのか?」

『ううん、そういうんじゃないけど。
光くんいつも、赤葦先輩のこと楽しそうに話してたじゃん』






去年、光くんが2年生になったばかり。
赤葦先輩が梟谷バレー部に入ってきた頃。


光くんが興奮気味に帰ってきた日のことが思い出される。




すんげーヤツが入ってきた!って、
俺これから楽しくなりそうな気がする!って。

嬉しそうに話す光くんの口から、
それから何度も赤葦先輩の話を聞いた。




はっきりと言い切ったわたしに、光くんはちょっとびっくりした顔をして、それからふっと顔を緩ませた。






「うーん、まぁな。
アイツはさ、俺にないもんいっぱい持ってるから、すんげーと思うんだよな」






キラキラ、音が聞こえるほどの笑顔。
あの日と同じ、嬉しそうな笑顔。



全国区のエーススパイカーで、負けず嫌いで、プライドだって人一倍。

それでも。
後輩に対して、そう、はっきりと言えちゃう光くんもすごいと思う。




そして、
光くんにそう言わせちゃう、赤葦先輩も。






「にしても久々だな!Aとバレー!」

『ちょっとは手加減してね、光くんは全国区エース様なんだから!』

「エースは手加減なんて知らないからな!」






ふふん、と光くんが自慢げに口角を上げる。

腕を組んで仁王立ちをする姿は、高校生に見えないくらい大人びていて、でもどこか子どもっぽくて。



わたしのよく知る光くんの姿だった。

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さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

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