検索窓
今日:5 hit、昨日:63 hit、合計:76,463 hit

03 ページ3

「何だ木葉と何しゃべってんだ?」

「うっせ、お前のことだよ」

「なにぃ!A、何の話だ?」

『いや、本当に大したことじゃ…』






目ざとく木葉くんとわたしの会話に興味を示し、
間に割って入ってきた光くん。


こうなった光くんは少し面倒くさいというか…



話が気になって仕方ない様子の光くんを、
どうやって誤魔化そうと思ったその時だった。






「お!あかーしーいい!」






体育館の方から歩いてきた、
光くんに会釈をする黒髪の男の子。

完全に光くんの興味がそっちに移ったことに安心しながら、その姿を見る。



あかーし、と呼ばれた彼も、おそらくバレー部。

そのままやってきて、小見くんの隣に並んだ。






「おはようございます、木兎さん」

「なぁなぁ赤葦!この子!この子!!」

「...そちらは?」

「あれ、赤葦会ったことねぇんだっけ?」






そわそわした様子の光くんが、ぐいっとわたしの背中を押す。

現役男子高校生の力だ。
光くんにされるがままで前へと押し出される。






「こちら、AA!今日からここの1年!」

「ああ、木兎さんの幼馴染みの」

「そう!Aっつーの!可愛いっしょ!」






可愛い。


たとえそれが、紹介のためのお世話であっても。
好きな人にそう言われて、嬉しくないはずがない。


顔に熱が集まるのを感じて。
照れながら俯いていた顔を上げた瞬間に。



光くんのその言葉の余韻に浸る暇もないくらい
目の前の鋭い目線がわたしを捉えた。






「…ああ、そうですね」






しっかり、無表情のままわたしを見て。
紡がれた言葉は至ってシンプルで。


光くんの言葉を否定はしてないはずなのに、
肯定のはずのその言葉に少し、怖さを感じた。



何を考えているのか、わからない。
それが、怖いと感じた。






「ちょ、光くん。困らせてるから」






光くんはまだニコニコとわたしの背中を押してる。


その手をやんわりと退けるとわかりやすく膨れる頬。

何それ、可愛い可愛い可愛い。



光くんの可愛さに悶えかけるけど、
鋭いままの視線に、一瞬にして現実を突きつけられる感覚。






『えっと…副主将の、赤葦先輩ですよね』

「うん」

『光くんからいつも聞いてます』

「俺もAさんのこと聞いてたよ。入学おめでとう」






柔らかい言葉とは対照的な、無表情。

光くんの相棒だって聞いてた。
光くんの話ではもっと面白くてかっこいい人だった。


赤葦先輩ってこんな人なんだ。

04→←02



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
211人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さな(プロフ) - ごんすけさん» 嬉しすぎますありがとうございます!励みになります✨ (2022年12月18日 19時) (レス) @page25 id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
ごんすけ(プロフ) - 大好きですありがとうございます(語彙力の消失) (2022年12月18日 16時) (レス) @page23 id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りるるさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!今後も楽しんでいただけたら嬉しいです🧡 (2022年12月18日 15時) (レス) id: ee78dfa46a (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 好きです‼︎💕 (2022年12月15日 16時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さな | 作成日時:2022年11月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。