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「驚いたか?五条の小僧」
「…何を勉強してんの、アイツ」
「さぁな、もう忘れてしまったわい」
「孫を実験体みたいに扱って楽しんじゃうタイプかよ」
「クク、そこまで非情では無い。ただ単に、Aはわしの最高傑作なだけよ」
まるで作品のように言うその姿に、五条は耳を疑った。とは言え、止める気もない。そんなものだ、呪術師なんて、そのはずだ。
「アレを呪術界へ売る。だが、いきなり放り出すのは厳しい。だから高専に置くのさ」
「…良く言うね、老いぼれ。呪術師にする時点で厳しいもクソもねぇだろ」
庇うつもりは微塵も無い。だがしかし、呪術界の気持ち悪い非情さには飽き飽きしていた。
「Aの為に行っている事を、お主が止める権利などなかろうぞ」
「ハイハイ、合理的選択って奴ね。俺正論嫌いなんだよ」
「じゃあ聞くが、小僧はAに何が出来る?」
その質問に、五条は答えなかった。ただ答えが見つからないのか、言うだけ無駄だと思っているのか、真意は誰にも分からない。
五条は、蓮川の思惑を見抜く事が出来ない。可愛がっているのか、商品として見ているのか。
はたまた両方か。
この空間はどこか不気味で、生ぬるい殺気が辺りを漂っていた。
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作成日時:2021年3月9日 0時