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「ここ、なんか暗いね」
「夜のビルなら当然でしょう」
足音が3つ、の場所に響いた。自然とコソコソとしてしまうほど静かである。
「…残穢がある。この先にいると思う」
「真っ直ぐ行って、右に曲がった所ですか?」
「うん」
永広が頷いた次の瞬間、走り出した。七海、灰原も続いていく。
言った通りに右に曲がれば、同時に呪霊も襲いかかってきた。永広はいち早く構える。
持っている呪具、短刀を、飛びかかって呪霊の目玉へと突き刺す。
「私が動きを止めるから、殺って」
七海が返事をし、武器を取り出した。永広が万が一に備える。
足で呪霊を抑えるようにし、術式を発動。痛覚麻痺へと切り替えた。
灰原、七海が連携を取りながら祓おうとしている最中、力ずくでも呪霊の動きを止める為に。
骨がビキビキと鳴り、灰原が躊躇う。「永広さん!大丈夫ですか!?」と言う声に、首を縦に振る永広。
それを気にせず、七海が呪霊に一撃を入れた。それでは足りない、何発も呪霊の体躯に攻撃をかます。
泥試合と言っても過言では無いほどみっともない戦い方ではあったが、何とか辛抱して、攻撃の数で勝つ事が出来た。
しかし、その頃には、永広の身体は満身創痍であった。
「…えっと…有り得ない方向に身体捻られてますけど、大丈夫ですか?」
「……うん、歩けないけど」
「それを重症で、大丈夫じゃ無いと言うのでは?」
人間の形を辞めた骨。あまりじっと見たくない見た目に、灰原は目を手で隠す。
「瀕死とは言えないから、術式が発動しない。家入のところに行くか、2人が私を殺してくれると有難い」
「…殺す、って、どういう事ですか?」
「私はまだ、瀕死じゃないと反転術式を使えない。今、練習中で…失敗すると死ぬから家入の近くでやるようにしている。今練習してもいいけど、死体を見たくないならお勧めできない」
「そうですね、死体を見たくないとかじゃなく、普通にやめた方がいいと思います」
永広の肩を七海が担いだ。ボキッと音が鳴るが、気にせず進む。後に灰原ももう片方の肩を担いで、何とか高専に戻る事が出来たと言う。
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作成日時:2021年3月9日 0時