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五条の頬に、紅葉の跡。
「……な、何をしたの五条…」
どうやら、永広が平手打ちをかましたようだった。
「いってぇ、普通ビンタするかよ」
「いや、噛んできたのはそっちじゃ…」
「雰囲気に乗れよ雰囲気に、空気読め」
「空気は読めるものなの?」
「黙れKY」
五条が叩かれた場所を手で撫でて痛みを噛み締める。ようやく、夏油が話に割り込んだ。
「頭が痛いんだが…一旦落ち着こう。後、悟はAに謝った方がいい、勘違いを産む」
「バカが意図を汲み取れる訳ねぇだろ、バカなんだから」
「そのバカって言うのも程々に」
「噛まれたな、ぐらいにしか思ってない、どうせ」
夏油は永広を見る。確かに、頬を赤くする様子も無ければ、恥ずかしそうな仕草も無い。
そして、口元の歯型がなんとも見ていて気持ち悪い。
「大丈夫?永広」
「家入…アレは五条の挨拶の仕方なの?」
「んな訳ないじゃん」
「五条が見た目通りに人間なら、こんな挨拶の仕方は無いと思う。けど、新種の生物ならあるかもしれない」
「ぶっ」
吹き出す家入。確かに新種の生物かもしれない、五条は。クズという名の。
「誰が新種の生物だ。またすんぞ」
「遠慮願いたい。山の中の生き物に対しての撃退方法しか知らないんだ」
「よし決まり、覚悟しとけよてめぇ」
「うわ、なん、で、ちかづ、いてくっ」
今度はぶちゅ、なんて音がしそうなくらいの勢いで唇同士がくっついた。ビンタ対策もバッチリである。
永広のこめかみに青筋が浮かんだ次の瞬間。
股間を抑えて倒れる五条。
家入が爆笑して、夏油が抑えきれない笑いを零したのは、言うまでもない。
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作成日時:2021年3月9日 0時