21【現在ver.】 ページ21
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久しぶりに見たな、この夢。
ゆっくりと目を開け、日を拝む。
倦怠感に襲われて、また寝てしまいそうになるところに、「お疲れ」って声をかけられた。
今日は語尾に何もつけないんだと思いながら返事をして、頬にかかっている血を手でなぞる。しかし、時間が経過しているのか、一向に取れない。
「五条、私はどのくらい寝ていた」
「ざっと3日」
なるほど、道理で赤が褪せない訳だ。口の中の鉄は何度味わっても気持ち悪く、慣れてしまった自分が酷く哀れに感じる。
痛みを感じない事も、10年以上経てば違和感を覚えずすごせるようになった。少しずつ、人間と言う存在から遠のいてきたと思う。
「ところで五条、なんでここにいる?」
「なんでって、会いたくて来たのに酷くない?」
「そうなのか」
ふと、自分の体が持ち上がる感覚がした。上を見ると五条が私を小脇に抱えている。
空中に居ることの退屈しのぎに、足をプラプラと遊ばせた。突如、右足が動かなくなる。折れたのか、と達観しているところに私を持ち上げた本人、五条は聞いてくる。
「どうした?」
「いや、足が折れた。と言うか、骨がポッキリといったところ。寝足りなかったらしい」
「ハイハイ、じゃあさっさとおねんねしましょうね」
「それがそうもいかない。任務が入っているんだ。致し方ないが、家入に診てもらう事にする。急ぐから離してくれ」
言う通りに手を離す五条。当然、ズドンと音がする。随分高い所から落とされたのだ。身体が動かない。
なるほど、今度は右腕と左足が折れたのか。これでは到底立てない。
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作成日時:2021年3月9日 0時