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朝、永広が5時程に屋敷を出て、山へ向かう途中に声がかかった。
「こんな時間に起きてたのかよ。キモ」
「……なんで貴方がここに?」
五条が、高専の制服に着替えて、永広の後ろに居た。大きなあくびをしている姿で何かを察するにはちょっと難しい。
「朝うるせーんだよオマエ、嫌でも目ェ覚める」
「それはごめんなさい。まだ寝ていて構わない」
「……起きる。これから行く場所に一緒に連れてけ」
予想もしなかった言葉に、永広は目を見開いた。これはどんな考えで言っているのだろうかと探るも、分からない。
「別に…好きにするといい」
「素直に喜べよ」
「……なんで?」
「チッ」
相変わらず空気の読めない奴だな、なんて理不尽な理由で、五条は怒るのだった。
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永広は、人2人分の幅の道に入った。続いて五条が猫背で入る。上を向けば、葉が生い茂っていて、下は土が固まっている。毎日来ないと踏み固まらないだろう。
他に特徴を言うのなら、坂道。暗くて終わりの無さそうな道を、永広は歩き始めた。
日差しはまだ到底真上に到達しない時間帯故に眩しくはなかった。暑くもない、涼しいくらいだ。
「何しに行くんだよ」
「点検。動物達の異常が無いかとか、荒らされた場所は無いかとか、今日の天気はどうなるかとか」
「毎日してんの?」
「うん」
東京の女子高生なら、今の時間は多分寝ている。高専生でも、多分寝ている。夏油辺りは起きてるかもしれないが。
少なからず、16の少女が行う事では無い。
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作成日時:2021年3月9日 0時