family

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傷が完治するまでは仕事を休ませてもらうことになった





オッパの様子がおかしかったのは
あの日だけで

次の日にはいつものポーカーフェイスに戻っていたし
しっかり部下に怒鳴っていた










『なんだったんだろう』





なんて呟きながら

わたしはいつもの場所へ向かった







そこは
事務所から少し離れた場所にある自然公園



その中にある
小さなウサギ小屋がわたしの行きつけの場所




ここにきて
うさぎに網越しに餌をあげる

うさぎの小さな口が
もぐもぐと動いているのをただぼーっと眺める


そうすると
色々と考えなくて済むのだ





悩み事があったり
気持ちが沈んだ時はよくここにくる






・・・昨日、聞いてしまった








「なぁ、やっぱりおかしくねぇか？」





「あの人は何考えてるんだろうな」





ビルの下の階に用事があった
角を曲がろうとした時
部下が話している内容が耳に入り、思わず身を隠す







「wingsの奴らと抗争してるっていうのに
何かボスが指示してくる気配がねぇ
しかもボスはあの女にぞっこんと来た」





「俺らの力を今見せつけないでいつやるんだって話だよな！

そうそう。女は見たことないけどよ
いっつもボスの横にいるらしいぜ」







「ボスもあいつのいうことだけは聞くんだってよ

おかしいよな。あの人ら兄弟らしいし」






「は？血繋がってんのにそんな関係なのおかしくね？」







「だよな。異常だよ」






「きっとその女がボスをダメにしてるに違いねぇ」






「そいつさえいなければボスは昔のボスに戻るかも知れねぇ」






”異常”



”そいつさえいなければ”

















・・・・そんなこと

わたしが一番分かってる







私たち兄弟が共依存になっていることも


そのせいで
わたしがオッパの弱点になっていることも







全部わかってる








今のままじゃ
わたしが死ねば、きっと彼も後を追ってくるだろう

だから、勝手に死ぬわけにはいかない






でも、

わたしはこの世界しか知らない

オッパしか知らない





どう生きていいか、分からない






彼から離れる勇気も



家族を守る力も




わたしにはない

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