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番外編 76日 " ページ28

Aを失った後の夕陽のその後の話です。
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俺は先月、16の誕生日を迎えた。

普通なら誕生日を今年も無事に送れて嬉しいと言うだろうけど、俺は違った。

同時にAが死んだなんて、嬉しいはずがない。

葬式の時だって、火葬の時だって、俺はただ泣くことしか出来なかった。

「A…俺、まだお前にいて欲しかった…のに」

同じ時に産まれたのに、どうしてこんなにも運命が変わったんだろうか?って何度も考えた。

遺灰となったAを見たとき、ズキンと心が地震が来たかのように揺らいだ。

固い絆で繋がった双子なんだから…

太陽と月は一つでは成り立たないんだから。

俺も一層の事とっととAの元へ行って、また二人一緒になれたら。

「Aだって…一人じゃ寂しいよな?」

位牌となったAの前で弱々しく微笑みながら聞いた。

そうだ、行こう。
行ってしまおう、こんなに悩むくらいなら…。

俺は位牌のそばを離れて立ち上がった。

だけどその時、ふと目に入った光景。


「……母さん」

母さんが悔やんで部屋で泣いている。

いつもAに冷たく当たっていたことを後悔して泣いている。

「A…ごめんなさい、丈夫に産めなくて…冷たい態度とって…」

もう今更後悔しても遅いのに、もうここ(この世)にAはいないのに。

母さんの目から零れる大きな涙はキラキラ輝いていた。


それを見て、一つの事をふと思い出した。
そうだ、命は大切だ……。

どんなに生きたくても、長生きしたくてもAはそれが出来なかった。

「馬鹿だな、俺…こんなんじゃ、あの時Aに嫌われてても仕方が無いよな…」

こんなの、ただの言い訳にしか聞こえないだろうけど。

自傷気味に笑うと、俺は母さんがいる部屋に入った。


ーENDー

2015 12/28 新作→←新作オリジナル作品



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明月浅葱(プロフ) - めっちゃ泣きました! 俺、病系好きなんであまり泣かないんですが、こんなに泣いたの初めてです! (2022年11月13日 16時) (レス) @page30 id: 2a22133648 (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 目が晴れそうなほど泣いてしまいました。素敵なお話を完結させてくださりありがとうございます! (2021年12月21日 0時) (レス) @page30 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 涙が止まらない位感動しました。 (2016年9月18日 14時) (レス) id: a56b4ade72 (このIDを非表示/違反報告)
桃崎星(プロフ) - 涙が止まらん (2016年2月22日 22時) (レス) id: 308057f239 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ。 - 久しぶりに小説で泣きました…。それはもうボロボロと(笑 とても素敵なお話でした! (2015年9月9日 14時) (レス) id: 76adb82bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:堕天使の使い手 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年7月13日 0時

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