30.命の代わりに ページ39
NO SIDE.
『《かける》は能力の芽生え方っていう点では一番特殊なんだよ。他は生まれついてっていうかそれに近いんだけど……《かける》は誰かに何かを伝えたいっていう気持ちから生まれててさ』
敦「えっとー…簡潔に言うとどんな能力?」
『自分の記憶とか思いを伝える能力。何ていうんだろう……見せる、とも違うけど…まさしく“伝える”って感じ』
太宰「……わかりそうで分からないからまた見せてくれたりしないかい?ちょっとそれは理解が難しい」
ところが、太宰の言葉にAは首を横に振った。
太宰「え?」
『いや、それが早いのは分かってるんだけど……今それ、使えないんだよ』
その言葉に一同は目を見開く。
国木田「そんなことがあるのか…?」
『うん。正確には〜、“持ってない”なんだけどね!…前にもこの街に来てたときがあってさ、その時に人にあげちゃったの』
敦「異能って譲渡なんてできるの……??」
『…たぶん、他の人は出来ないよ。この異能だから出来ること!!譲渡っていうよりは人助けに近いわけだから』
Aは懐かしむようにこう言う。
『あの時、いつもカレー屋さんで会う友達が死にそうになっててね。その人はその人にとって大事なものはみんな壊されたって思ってたから、命を投げ出しても仇を取りたかったみたいだったんだけど。』
『僕はそのことにも気づいてそっちにも手を回してあったし、その人のもとにも死ぬ前に駆けつけられた。それでね、聞いたんだ』
Aはゆっくりと微笑む。
『これから、生きたい?平和に暮らしていきたい?って』
太宰「……そしたら?」
『…生きたいって、言ってくれたよ。それで一回異能の中に……あ、これはあとで説明するから。………で、異能の中に入れて、適合する能力とめぐりあわせたんだよ』
ナオミ「すいません、適合…って?」
ナオミが質問をする。
Aはそれに素早く答えた。
『あぁ、適合っていうのは、“能力を命の代わりにする”ためのものなんだけど、持ち主である僕は置いといて、誰かに“命の代わりに”譲渡するときは相性があるみたいなんだよねぇ。で、その人は《かける》が適合したってこと』
なるほど、と一同は納得する。
太宰も、少しの違和感を覚えながらも頷いていた。
──Aがその言葉を発する、その時までは。
『その人、優しくてしかも“小説家になりたい”って人でね!やっぱりピッタリの能力が適合したね』
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宵凪(プロフ) - ただの一般人さん» ひょえわぁ!?!?めちゃくちゃ褒めてくださる……✨✨✨めっちゃ励みになります、ほんとにありがとうございマス…!!これからも更新頑張ります、ぜひ2もよろしくお願いします〜〜!! (2023年4月20日 7時) (レス) id: 828efe0dfb (このIDを非表示/違反報告)
ただの一般人 - すっ…すごい…!!絵も物語も上手いだなんて…。宵凪さんの文の書き方と絵柄が、めっちゃ好きですちょっとわけてくれませんかお願いします(切実)カゲプロも文ストも好きなのでもう…ダメだ好きすぎた(遺言) (2023年4月20日 2時) (レス) id: 3f9059dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
宵凪(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙さん» りりりさんありがとうございますッッ!!㊙エピソード好評で何より……!これからも頑張りマス!応援ありがとうございます!!! (2023年2月19日 10時) (レス) id: 47abe22f42 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 途中で出てくる㊙エピソードと一緒に読むと更に楽しめて良いと思いました!!続編も出てるみたいなので拝見させて頂きます!あくまでもご自分のぺースで頑張ってください…!! 長文失礼いたしました! (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 遅くなりましたが、イベント参加ありがとうございました…!! 夢主の目の設定がかっこいしテンションブチ上がってる中垣間見せるクールな一面が素敵だと思いました!! というか織田作…めっちゃ気になるし敦君の想いがどうなっちゃうのかも気になります… (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宵凪 | 作成日時:2023年1月22日 12時