三十八本 ページ39
no side
「フム、分からんな。
オマエあの時、何故逃げた。」
「?」
「宝の持ち腐れだな。
まぁいい、どの道その程度では
「(バレバレか、)」
よろける伏黒。
「髪の式神は多少強かった。
恐らく術師は遠方にいるのだろう?
間近にいたのならもう少し長引いたかもな。」
「……そうか、」
「髪で変化する中々面白い術式だ。」
「…………先生のは術式じゃない。
「!」
伏黒はぽつりと呟く。
宿儺はフン、と鼻で笑う。
「つまらんことに命を懸けたな。
この小僧にそれ程の価値はないというのに。」
「じゃあなんで、俺は助けたんだよ!!」
「(不平等な現実のみが平等に与えられている。)」
伏黒は虎杖の言葉を思い出しながら考えていた。
「誰かを呪う暇があったら」
「大切な人のことを考えていたいの。」
「(疑う余地のない善人だった。
誰よりも幸せになるべき人だった。
それでも津美紀は呪われた。
俺の性別も知らず"恵"なんて名前を付けた父親は
今も何処かでのうのうと生きている。
因果応報は全自動ではない。
悪人は法の下で初めて裁かれる。
呪術師はそんな"報い"の歯車の一つだ。
少しでも多くの善人が平等を享受できる様に
俺は不平等に、人を助ける。)」
伏黒は構えた。
ビリビリと空気が震え、宿儺が嗤う。
「いい、いいぞ。
命を燃やすのはこれからだったわけだ!
──────魅せてみろ!!伏黒恵!!」
「布瑠部由良由良(「八握──────)!」
伏黒は構えていた腕をゆっくり降ろす。
「…俺は、オマエを助けた理由に
論理的な思考を持ち合わせていない。
危険だとしてもオマエの様な
善人が死ぬのを見たくなかった。
それなりに迷いはしたが結局は我儘な感情論。
でもそれでいいんだ。
俺は
だからオマエを助けたことを
一度だって後悔したことはない。」
.
「……そっか。」
「伏黒は頭がいいからな。俺より色々考えてんだろ。
オマエの真実は正しいと思う。
でも俺が間違ってるとも思わん。
あー悪い。そろそろだわ。
伏黒も釘崎も
五条先生とA先生…は心配いらねぇか。
長生きしろよ。」
そう言って虎杖は地面に倒れた。
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りんごりんご - え、神ですか?こんなに作品の組み立てが上手なの、なかなか無いですよ!神ですか?いや神ですよね? (2021年1月31日 18時) (レス) id: f29ad8ba49 (このIDを非表示/違反報告)
くらくしょん - すごくお話をかかれるのが上手なんですね!、読んでいてとても楽しかったです、これからも頑張ってください (2020年12月6日 16時) (レス) id: 15035c8d2a (このIDを非表示/違反報告)
百 - 深凪さん» めっさ分かる!唇ちょっとピンクいのがめっちゃ可愛くて、五条先生のカッコいい感じとか余裕がある感じとのギャップヤバくてマジえらい。 (2020年11月30日 19時) (レス) id: 78401eb32b (このIDを非表示/違反報告)
深凪 - アニメ作画良すぎですよね!!私も五条先生の唇ぷるっぷるやんって思ってたので同じこと思ってる人がいて嬉しいです(笑)小説とっても面白いです!更新待ってます!! (2020年11月18日 22時) (レス) id: a6413cd937 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 凄い面白いです!無理のない範囲で更新頑張って下さい! (2020年11月18日 16時) (レス) id: 32b6d86f2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 22時