許嫁で純愛【呪術廻戦】

十本 ページ11

no side





「話してきた。」





パァン、と襖を開けた五条。
五条父と古式父は思わず目を見開いた。





「仲良くなれたのかい？」


「うん。俺、Aなら良いよ。」


「「！！」」





その言葉にもう一度目を見開く父親達。
Aは頬を染めながらも様子を伺っていた。





「さ……悟、本気で言っているのか？」


「本気だけど？」





古式父は五条の様子を見て本気なのだと確信すると
五条父に向かってどうですか、と問う。





「この子達が納得しているなら円満解決でしょう。」


「それは……確かに、そうですが……」





五条父からしたら想定外。




あの五条悟が縁談を受け入れることも、
落ちこぼれと言っても過言では無い古式家が
御三家の五条家と縁が出来ることも
考えてもいなかった。





「でも条件がある。」


「「条件？」」





五条はピッと人さし指を立てる。





「古式家はAに今後一切干渉しないこと。」


「な……！！」


「Aはあんたや古式家のためじゃなくて
自分のために生きて、自分のために呪術を使う。
条件はそれだけ。簡単だろ？
五条家(ウチ)と関係どうこうは勝手にすれば良い。」


「Aｯ……どういうことだ！？」





顔を赤くして立ち上がる古式父。
Aはその迫力に息を飲む。





「まさか……話した(・・・)のか！？
何で言いつけを守れないんだ！！」


『ｯ……は、話してない……！』


「じゃあなぜこんな事になる！？」


『それは、』





貴方のせいだ、と言おうとしたが
握られた父親の拳を見て声が出なくなる。
Aの額から冷や汗が吹き出した。





『(怖い、怖い怖い怖い……！！
言わなきゃ、嫌だって！もう従わないって……！)』


「それは、何だ？」





口をはくはくとさせるAの前に
スッ、と割り込まれる手。





「大丈夫。──────守るって言ったろ。」


『！！』





小声で囁かれたその言葉に
Aはひとつ頷いて大きく息を吸う。





『そ、れは……貴方のせいだ！！
私は家のために呪術を頑張ってきた訳じゃない！！

私は人を守りたい！！
大切な人、心から信頼できる人を守りたいの！！

その人のためなら命だって投げ出す！
貴方達のために命は投げ出せない、投げ出さない！

もう……放っておいて！！！』






肩で息をするA。
驚きで声が出ない父親達。






「ｸｸｯ、やるじゃん。」






五条だけは面白そうに笑った。

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