拾肆 ページ16
no side
Aがしのぶ達の元へ走り始めて数秒後、
放たれた技の効果は鬼の累に届いていた。
家族を思い出し、涙する累。
頸を斬られてなお、炭治郎の方へ手を伸ばし歩いた。
「(この……風は……優しくて……暖かい……な、)」
累は倒れた。
伸ばした手は炭治郎に届かなかった。
「(小さな身体から……
抱えきれない程大きな悲しみの匂いがする)」
炭治郎は涙を零し、そっと手を累の背中に乗せた。
累はAの技の効果で記憶の蓋が開きかけていた。
そこに炭治郎の優しさが加わり
はっきりと、昔の記憶がよみがえった。
.
金属の触れ合う嫌な音が響く。
「あら?どうして邪魔をするんです?冨岡さん」
僅か数分の間に現れた胡蝶しのぶが刀を振ったのだ。
竈門禰豆子に向けて。
ついでに冨岡に対して毒も吐いていく。さすが。←
「俺の妹で……!!」
「そうなのですか。では……
苦しまないよう優しい毒で殺してあげましょうね」
炭治郎の説得は届かない。
しのぶは優しく笑っただけだった。
しのぶが刀を構え、今にも動き出すと思ったが
それは炭治郎の背後からの声によって阻止された。
『しのぶちゃん、これ、何事?』
「あ、貴女は……!」
「……!」
「あらAさん。丁度良かったです。
その子、鬼を連れているんです。鬼殺隊なのに」
Aはへぇ、と呟きながら
冨岡に庇われる炭治郎をゆっくり見下ろす。
『その庇っている女の子が……鬼なのかな?』
「い、妹なんです!」
焦ったのは炭治郎だけでは無い。
冨岡もほぼ最強と言われるAが来たとあっては
勝機はゼロに近い。
『…………妹さんは、人を食べた?』
「食べたことはありません!!本当です!!」
Aの表情は無い。
ただ黙って炭治郎と禰豆子を見ている。
『……ここでは何とも言えないね。
確かにこの子から人を食った邪悪な匂いはしない。
しのぶちゃん、指示を仰ごう』
「……Aさん、それは隊律違反になりますよ。
鬼を庇ったことになります」
Aが炭治郎らから目を離した一瞬で
炭治郎は禰豆子を抱え走り出した。
『おや、』
「Aさん、追って下さい。早く」
『……蟲柱殿の仰せのままに』
苦い顔をしたAだったが
素早く踵を返すと炭治郎を追い始めた。
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沙羅(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます!!宇髄さんカッコイイですよね……!!もっとカッコイイ宇髄さんを書けるよう頑張りますので、ぜひ続編の方もよろしくお願いしますー!! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - コメント失礼します!宇髄さんは私の推しなので、すんごいかっこいいなあ…。とか思いながら見てます!頑張ってください! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 4db94b3ad0 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - めぐちゃんさん» コメントありがとうございますっれ分かります…宇髄さんカッコイイですよね!もっと夢主を素敵な女性に書けるよう、頑張りますね! (2020年1月11日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
めぐちゃん - コメント失礼します!!宇髄さんはカッコいいし夢主ちゃんもかわカッコよくて面白いです。頑張って下さい! (2020年1月11日 0時) (レス) id: 0087c5132c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年12月29日 21時