師範を嫁にしたい【鬼滅の刃】【宇髄天元】

拾参 ページ15

no side




「では私は不本意ですが冨岡さんに合流するので
Aさんも後ほどお会いしましょう」

『不本意』

「では〜」




素早く山の東へと駆けていくしのぶを見送り

Aは村田に声をかける。




『村田君……だっけ？』

「は、はい！」

『ちょっと技使うから……離れててね』

「へっ！？あ、はいっ」




村田が慌てたように後ずさる。

次の瞬間、Aは刀を抜き構える。




『全集中…木霊の呼吸【拾壱ノ型・古(いにしえ)の記憶】』




ぶわり、と風が巻き起こり

その風は木々を揺らして山中へと広がる。




葉擦れの音、枝どうしがぶつかる音、

木の隙間を通り抜ける風の音。




様々な音が山へ響く。




それはどこか悲しくて、優しくて、

泣きたくなるような懐かしい音がした。




「礎様……？」

『…………よし。ありがとうね村田君。終わったよ』

「い、今のは一体……」




少し目を潤ませて村田が問う。

Aは優しく微笑むと技の説明をした。




『今のは木霊の呼吸【拾壱ノ型・古の記憶】と言って
私が唯一お師匠から引き継いだ技なんだ。

優しく力強い風を起こして木々を揺らし
記憶の蓋を開ける技なんだよ。

鬼は勿論、人にも効くから効果は絶大。
その人の忘れてしまった幸せな記憶を呼び戻して
安心させてあげるために使うんだ。

木は長生きだから何でも知っている。
辛いことも、嬉しいことも。全部、覚えている。

………あの子が幸せな記憶を思い出せますように』




そう言ってAは刀を鞘へ戻した。




説明をしている間

村田はAが悲しそうな顔をしているのを見た。




「……優しい技なんですね」

『嗚呼、この技を作ったお師匠も
とても優しくて強かったんだよ』

「凄いですねー……」




Aはそんな村田を見て苦笑し

君は下山しなさい、と告げて村田と別れた。





──────
〜大正コソコソ噂話〜



「師範、初めての大正コソコソ噂話っすね！！」

『人選ミスってんじゃないかな？？』←

「俺だって噂話くらい出来る！！」

『もう派手に声がデカいんだわ。分かる？声量。』




「大正コソコソ噂話！！！
師範の性別を知っているのはお館様と柱らしいぞ！！
ちなみに師範はド派手に美人だ！！」

『コソコソって意味わかる？？？』

「勿論！ド派手に理解してるぜ！！」

『もういいや。次回は拾肆話。お楽しみに〜』

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