お隣、46日目 ページ46
▽
「……A」
私を呼ぶ北さんの声が鼓膜を震わせる。北さんの腕の中で、北さんの匂いに包まれて、私は緊張で瀕死状態だ。
北さんが私の頭を撫でる。
「俺は諦めたわけやないからな」
「え」
「当たり前やろ？」
サラッと爆弾発言をするから、また顔に熱が集まった。頑張って北さんの腕の中から逃げようとしたら、ぐっとさらに力を入れられて、どうしようもない。
小さく「そろそろ離してくださいよ」と言ってみたけど、ガン無視された。ジーザス。
しかし、流石に北さんもそろそろ飽きてきたのか、恥ずかしくなったのか、ゆっくりと腕の力を緩めていく。
私はホッとしながら、北さんの腕の中から抜けだした。
__それと同時か、それより早かったか、
私たちの背後から、いつも隣で聞いている、聞きなれた声が耳に飛び込んできた。
「……A、と北さん…？」
なんでだろう、見られたって別に良いはずなのに、貴方にだけは見られたくなかったって思うのは、誤解されたくないって思うのは、なんでだろう。
振り返ると、そこには侑君が、目を見開いて立っていた。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
「っま、待って！侑君！ストップ！」
私と北さんを見て驚いた侑君は、何故かそのまま元来た方向に走り去っていったから、思わず私は追いかけてしまった。北さんに後で謝らないと、と頭の片隅で考える。
普通に考えたら運動部の、しかも男子の足に追いつけるわけないんだけど、必死で叫んだおかげか侑君はだんだんとスピードを落とし、足を止めた。
「ッハア…は、速いよ！」
「…お前が遅いだけやろ」
お前。
最近はいつも名前で呼んでくれていたのに、と胸がチクリと痛んだ。侑君は何故か私と目を合わせようとしない。
「あのね、誤解で、」
「別に言わんでええよ。付き合ったんやろ、ええやん」
「だっだから、違くてっ…！」
チッと侑君の舌打ちが聞こえる。背筋がぞくりとした。侑君の顔を見ると、いつもとは違う、本当に冷たい顔をしていて、怖くなった。
なんでそんなに、怒っているんだろう。
それが分からなくて、でも分からないとだめで、私は焦って頭が真っ白になる。
でも、そんな中で、一つだけ思いついた。
私、きっと、
侑君のことが好きなんだ。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
