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0日目24 ページ25

「それって紙飛行機?」
「なんか変な形してるな」
「おうよ!川西がこの折り方が一番飛ぶんだって教えてくれてよ!」
「小学校の頃流行ってたんですよね、誰が一番遠くに飛ばせるかって」
 言いながら山形は柵に限りなく近づき紙飛行機を飛ばす体制に入る。彼の手に収まっているそれは瀬見が零した通り台形のようなあまり見たことのない折り方がされており、更にまっさらな紙の上には何かしらの文章が書かれている。
「なるほどネ!!これなら下に落としても人が怪我する心配もないし、なにより助けが呼べるってワケ!!二人ともでかした!!」
 山形がどこまでも続く空へ期待を乗せた紙飛行機を飛ばす。その一部始終を見届けた天童が、今日一番のハイテンションで二人に向けて親指を立てた。心なしか皆の表情も明るくなったところで川西も先輩に続き手元にある紙飛行機を飛ばそうとした、その瞬間──
『規則違反を感知しました、違反した参加者にはペナルティが課せられます』
「──え?」
 唐突に鳴り響いた音頭の感じられない人の声と警報、そして、
「っぁ、がぁっ……!!」
「え、は、隼人クン!?え!?」
「隼人!?おい!大丈夫か!?」
「山形さん!?」
 不意に自身の首を抑えたかと思えばそのまま膝から崩れる山形。その表情は苦痛に歪み、酸素を取り込もうとはくはくと口を動かすも、どういうわけか呼吸することができず、彼の口からはただ掠れ声だけが溢れる。
「ねぇ見てこれ!首輪!!」
「はぁ!?なんだよこれ!?」
 山形の容体を確認すべくしゃがんだ天童が、真っ先に襟の下で彼の首を締め付ける異物に気付く。すぐに瀬見も同じようにしゃがみ込み天童と共に破壊を試みるが、そもそも首をへし折らんばかりに食い込んでしまっており、手の施しようがなかった。
「ウソ!?ちょっと待ってよ!?これどこまで締まるわけ!?」
 悲鳴にも似た一際甲高い声で天童が絶望のままに叫ぶ。首輪はその細い上に断面図で見ればほぼ直角の四角である、その形状が災いして、首を絞めるという役割を超えて最早皮膚の一部をぷつりと切り裂いてしまっていた。
 最早意識が飛んでいるのか声すら発さず手足も動かすことなく、ただ苦悶を浮かべて仰向けになるチームメイト。その光景を見ていることしかできないのかと、彼らが何重もの絶望感に打ちひしがれたその時、
『ペナルティ完了』
 首輪が締まった時と同様の声が無機質に鳴り響き、緩くなったそれは重力に従い少し下にずれた。

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星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時

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