0日目22 ページ23
治と銀島がそれぞれ扉の向こうにあったものを報告すれば、ダンスフロアの柵にもたれかかった赤木がほーいと雑な返事を返して、三階中央の談話室で見つけたペンを用いてその場所に何があったかを館内図に直接書き込んでいく。もう一人、静かにとある扉の中から出てきた同級生を見つけ今度は自分から声をかけた。
「れーん、そっちは何やった?」
「…………せやなぁ、詳しくは話せへんけどみんな入らん方がええよ」
そう言ってその部屋の中にあったものを持ってきたのか、白い紙に赤いペンで立入禁止と大きく書きテープで扉に貼る大耳。右下に小さく自分の名前を署名している辺り彼の几帳面さが滲み出ていた。
「なんやさっきのアランみたいなこと言うんやな」
「まああの部屋にはなんも無かったってことだけ頭に入れといてや」
「なんもなくはないやろ」
「ええからええから」
館内図で見た限りではその扉の向こうにはそれなりのスペースがあることがわかっているため赤木は抗議するが、それでも大耳が詳細を話すことはなく、部屋の中から持ってきたペンやテープも結局部屋に戻さずに侑が探索中のカウンターテーブルの上に置いた。
「どうや侑、何か目ぼしいもんあったか?」
「酒と冷蔵庫に食料と、あとなんかよお分からん名前の調味料があるのと、バーカウンターの裏側ってこんななってたんやなーてことしか分からんかったです」
言われて侑は自分が見たものをそのままに報告する。
「んー、まあここもだいたい調べ終わったっちゅーことやし、もう出るか。アラン達もそろそろ探索終えてる頃やろ」
「それもそうですね」
あらかたの探索結果を紙面にしたためた赤木がそう言えば隣りにいた銀島も同意する。そのままクラブバーの部屋を出た一行は、廊下に出た途端丁度こちらの部屋に向かおうとしていた北と尾白にばったり出くわした。
「なんや、そっちはもう終わったんか?」
「おう、クッソふざけた部屋やったで、収穫なんもなかったけど」
「こっちも似たようなもんや、収穫もなし、とりあえずお互いお疲れさま」
「そっちもクソふざけたような部屋だったん???」
自分からクソふざけたなどと形容しておきながらも、北にそのような返答をされると思っていなかった赤木は驚きを表情に浮かべる。
「一応張り紙はしといたけどあの部屋は立入禁止てことで頼むわ」
そして違う場所で全く同じような行動をとる同級生二人にもう一度驚愕した。
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星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時