一方通行 ページ3
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『__っひ』
左手に感じた不快な感触に肩を跳ねさせた。
先程まで続いていた大砲の雨は既に止み、ボンクレーさんの決死の覚悟による開門、それに引き続いて何者かによって開かれた正義の門を通り、海軍本部内部の海域へ。
突然声をあげた私を怪訝そうに見てきたルフィになんでもないと伝え、この不快感の犯人に心当たりしかなかった私は左手を隠す様に右手で覆った。
『私ちょっと後方見て来ますね』
近くにいたルフィとジンベエさんに声をかけ、承諾の声も碌に聞かないまま早足に船尾へと向かう。
周囲に誰もいないか見渡してから、ヘリに手を掛けた。
『…それで、何?』
私が問えば、左手に一本の筋が入る。
感覚こそないものの、己の手が裂けそこから覗く禍々しい口内を見るのはいつになっても気味が悪かった。
「なんじゃ、不満そうな顔をしおって」
『別に』
「ふん、気難しい小娘じゃな」
それはアンタもだろ、という言葉は飲み込み、視線で件に要件を急かす。
口に続いてぎょろりと開かれた蛇の目が、こちらを見上げた。
「依り代よ、本にあの小僧を助けるつもりか?」
『…何が言いたいの?』
その質問こそ今更である。
ここまで必死になって走ってきて、やっぱり止めるだなど言語道断。
愚問だと鼻で笑って一蹴すれば、それを大して気に止めた様子もなく件は続ける。
「…止める気は無い。
じゃが、忠告はしておこうと思うてな」
霧の先を見据えるように遠くへ投げていた視線を件へ戻す。
その血に塗られた目が、嫌いだった。
「汝は既に一度死んでおる」
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (2023年5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時