笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

クリスマスプレゼント ページ47

「オレ、ここで初めてRe:vale観て、めっちゃ鳥肌立った。そんで、Aに一目惚れした。」

『ほんと、私に一目惚れっておかしいよ･･･。綺麗とか、可愛いとかならわかるけどさ。』

心底不思議で言うと、百が笑う。

「顔じゃないんだよ。美人とかじゃなくたって、表情に出るものとか、性格から滲み出るその人独特の雰囲気や空気とか。Aの笑った顔がオレに向いた時、全身で“この人好き！”ってなった。」

百の言葉が、ストンと心に落ちる。

そうか。
私に一目惚れっておかしいって、ずっと思ってきたけど、そういう見方もあるんだ。

わかる気がする。
優しそうな人、冷たそうな人、気の強そうな人、気が弱そうな人。
会話をしてみなければわからないけど、雰囲気で察することは出来る。

話してみて、思ってたんと違う、とかもあるけど。

「まあ･･･届かない存在だったし、中身を本当の意味で知っても好きって言えるか微妙ではあったけど、話したら、やっぱ好きだ、ごまかせないって思った。･･････Aは？“いつオレを好きになった？”」

百が真っ直ぐ私を見る。
記憶に関係なくという意味だろう。

正直に答えた。

『3周年ライブの時、エレクトーン弾きながら客席見て、百を見た気がする。でも、血のイヴがあって、手伝いに来てくれて、話すようになって･･･。恥ずかしくて照れて、逃げちゃうとこが、かわいいなって思って、いつの間にかかな。』

「最初っからじゃないんだ？」

『一目惚れしたことないもん。元々、信じない方だし。でも、そういう事があることを否定はしないよ？自分に関してだと信じないだけで。』

「ほんっと、筋金入りだよね･･･」

百がジト目で私を見る。

笑って、チャンスだと思って、鞄から百にクリスマスプレゼントを渡した。
開けて良い？って聞くから、どうぞって答える。

「時計！え！？オレのも注文してくれたんだ！？」
『うん。私のも。』

そう言って、鞄から、時計を出した。

昨日、千にあげたプレゼントは、キーホルダーの時計だ。
文字盤の色は白。時計の後ろについてる革はライムグリーン。

オーダーメイドだ。

百にあげたのは、文字盤が黒。革はショッキングピンク。
私のは、文字盤がゴールド。革はベージュ。

『千にも言ったけど、来年からも、３人で時を刻もうねって意味で。』
「ありがとう！」

百は、八重歯を覗かせながら嬉しそうに笑ってくれた。

「じゃあオレから！」
『開けて良い？』
「いいよ。」

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