笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

屋上の音楽 ページ31

IDOLiSH7と一緒に楽屋で話してる中、千が言った。

「こんなニュースを真に受けて、僕らを信じられなくなる人がいる。そんなものなのか、絆って･･･。」
「そんなことねえよ。」

【ヤマさん･･･】

「不安になってるだけだ。誰だって、言葉にしてもらえなきゃ、信じていいのか不安になる。親子さえ、メンバーでさえ、時には恋人だって、そうなんだから。」
「ヤマト･･･」

恋人だって･･･

ヤマさんの言葉に頷いてると、ヤマさんは千を見て口を開いた。

「だけど、あんたが口下手なことは知ってる。助けられることがあるなら、手を貸すよ。」
百「どうして、そこまで･･･。」

三「暇つぶし！」
大「使えるもんを使わない理由はないでしょ。」
壮「趣味ですよ。気にしないでください。」

３人が笑顔で言ってくれる。
私たちが、ヤマさんの時に言った言葉だ。

特技が“使えるもの”に変わってるけど。
IDOLiSH7のみんな、暖かい。

おかりんがバタバタと楽屋に入ってきて、和やかな空気が一瞬で変わった。

「千くん、百くん、ヤスさん、すみませんが、しばらく外に出ないでください。マスコミが集まってきて･･･」

３人で視線を交わす。

大丈夫だ。

千「･･･楽器は持ってきた？」
環「持ってきた！めっちゃ練習した！」
百「ありがとう！」

「ヤスさん、不束者ですが、ご一緒にピアノスコア弾かせて頂きます。よろしくお願い致します。」
「そーちゃん、震えてんぞ？」
『大丈夫だよ。自信もって！よろしくね！』

微笑んで、そうちゃんの肩をポンと叩く。
それを見てから、百が、よし、と言った。

「やっちゃいますか。」
「やっちゃおう。」
『うん！』

「予定通りに、正面から出て屋上に行こう！オレたちは逃げるようなことはしてない。みんなもつきあってくれる？」

IDOLiSH7が、みんな揃って、はい！と答えてくれた。

楽屋から出て、正面玄関へ向かう。

その間に、私は心の準備をしていた。

“Aじゃなく、ヤスという役の立場で発言して欲しい”
“Aを擁護して”

きっと、今がその時なんだろう。

【一緒に住んでいて、仲も良い、同じ事務所の“ちょっとだけ先輩”の“A”。】

自分で自分を擁護するのは、どうなのって感じだけど。

･･･嘘はつきたくない。

百は、きっと、そういう私の気持ちもわかった上で言ってる気がする。

【全く･･･難しいことを簡単に言ってくれるよね･･･】

前を歩く百の背中を見ながら、どうしようか考えていた。

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