笑顔のキミが好き 【百】 26 （完結）

年始用の収録　2　 ページ11

「じゃあ最後に、Aがゲストに来た理由なんだけど！」
「『今更かい。』」

千と一緒に百にツッコんで、スタッフも含め、みんなで笑う。

いいな、こういうの。
メイクも気にせず、思い切り笑えるの。

「実はA、音楽大学出身なんだって！何の楽器やってたの？」

『エレクトーン。』

「エレクトーン！いいじゃん！他に何か出来る楽器はある？」

『まだそんなに上手じゃないんだけど、ギター。』

「へえ。ギターある？」

千がスタッフの方に目をやると、おかりんがギターを持ってきた。
千から貰った物だ。


私がしたいと言ったのは、ギターだ。
Re-raiseはバンド形式だし千がギターやってたなと記憶してたから、千とギターやると絵になるなって理由だった。

千は、ギターなら座っても出来るし、マシだろうと言った。
でも･･･やっぱり電子ピアノが一番負担にならないと千が言ってたのもあって、それも少しずつやってるけど、エレクトーンに慣れてるせいか、まだ違和感が凄いんだけど。


「これ弾ける？」

千が、おかりんが番組に持ってきたギターと同時に出した楽譜を見た。
Re-raiseのギター用のスコアだ。

「“サビの部分だけ”一緒に弾こうか。」

既存曲だと練習したんだと言われるからと、今朝見せられた。
だから少し練習出来たけど。
こういう所は相変わらず容赦ないな。

楽譜のサビの部分を確認しながら、ちょっとだけギターをかき鳴らす。
いいよ、と言ってから、千とセッションした。

百が歌う。
千も歌う。

練習したお陰で、笑顔を見せれる余裕はあった。

弾き終わると、スタッフから拍手があがった。

「凄いじゃん！ユキには敵わないけど、さっき見た割には上手くない？」
「そうね。僕には敵わないけど。」
『ここぞとばかりに強調･･･まあ、最近弾けるようになった割には出来たかな･･･』

「じゃあエレクトーンだとめっちゃ上手い？」
「Aのエレクトーンで僕らが歌うんでしょ？そのための今日のゲストなんだから。」
「何の曲弾いてくれんの？」

『じゃあ･･･あまりテレビで披露されていない“星屑マジック”を。』

一旦カメラを止められてエレクトーンの前に座る。

私としてはいつものことで違和感ないんだけど、スタッフが緊張してるのがわかる。
百と千がいつもの立ち位置に立つと、カメラが回った。

いつものようにエレクトーンを弾き終えると、周りがシンとする。

立ち上がって笑顔でおじぎをすると、拍手が沸き起こった。

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