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「おい、危ねぇからやめろ」

「これくらい大丈夫だって」

「大丈夫じゃねぇ」


手の傷はもう治ったし、重たいものでもない
…私は先生から頼みごとをされる呪いでもかけられているのかって思う

今日運ぶダンボールは軽くて、私一人でも余裕で持てる重さ
心配することなんて何もないのに、影山くんは私からダンボールを奪い取った


「ありがとう、影山くん」

「別に大したことしてねーから」


そう言ってそっぽを向いてしまった
影山くんが私から顔を逸らす時は照れてる時

わかってるけど、口には出さない

少し紅く染った耳だって見て見ぬふり


------


この間まで、話すのも緊張していた私たちだけど、それにももう慣れてきた
そして私の頭を支配するものが新たに現れる

…手、繋ぎたい

少し手を伸ばせば触れる距離にある大きな手と手を繋ぎたい

だけど私から行くには勇気が足りなすぎた

これまでだって何度も触ってみようと手を伸ばしかけたのに
寸前で手を引いてしまう

長い戦いになると覚悟した


…よし、今日こそは
心の中でそう意気込んでゆっくり手を近付ける




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作者名:観月 | 作成日時:2020年9月15日 5時

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