好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ42)

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42、合宿②⑤ ページ42

「木兎先輩って方向音痴なんですか～？」

「そんな訳ないだろ～。それよりもAこそ方向音痴なんじゃないですか～？」

「……木兎先輩」

「……ごめん」

ただいま木兎・Aペア、迷子中。
原因はもちろん木兎である。こっちの道の方が楽しそうだと言う理由で、木兎は行くべき道を無視して進んで来たのだ。

「いえ。木兎先輩を信じた私が悪かったです」

「赤葦みたいな事言わないで！」

木兎の嘆きはさて置き、Aはスマートフォンの電源を入れる。
生憎圏外などと言う事はなく、取り敢えず岬と赤葦に連絡を入れた。

「捜しに行くから動くなって京ちゃんに言われました」

「お、赤葦が来てくれるのか。そーいや赤葦のペアって誰だ？」

「影山らしいですよ」

木兎は想像したのか、珍しいコンビだなと一言呟いた。
そんな呑気な木兎に腹を立てたAは、木兎の頬を思い切り引っ張る。

「ム・カ・つ・く・ん・で・わ・ら・わ・な・い・く・だ・さ・い」

「ごめんなきゃい」

手を離すと、木兎の頬は真っ赤に染まっていた。
少々強く引っ張りすぎたかとも思ったが、けろっとした表情を見ると何とも思わなくなった。

「じゃあそこの岩に座ってましょ？」

「ほーい！」

疲れ切ったAと、元気有り余っている木兎。二人は近くの岩に腰を下ろして赤葦を待つ事にした。