好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ38)

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38、合宿②② ページ38

「あざしたっ！」

20対25で、見事女バレが勝利した。
なかなかの爆裂した試合で、Aはとても満足そうだ。

「A嬉しそうだな！」

「ええ。木兎さんも早くAと仲直りしたらどうですか？」

「だってさっき逃げられたし……」

大分しょぼくれモードも終了してきたのか、木兎はAの笑顔を見てニカッと豪快に微笑んだ。
すかさず赤葦が口を挟むもしょぼくれモードが再開しそうになった為、溜め息を漏らす。

「取り敢えず、早く仲直りしてください。気を遣うこっちが面倒なんですから。Aもそこまで根に持ったりしませんよ」

「……行ってくる」

烏野がフライングを開始し、Aはスポドリに口を付けた。そこに、とぼとぼとダークなオーラを漂わせている木兎が向かった。

「A……。さっきと昨日の夜、ごめん」

「木兎先輩……」

「やっぱり、許してくれない、？」

そんな瞳で見つめられては許す他ない。Aはスポドリを床に置くと、木兎の頭を撫でる。
その際Aは背伸びをしている為、木兎が察して自ら屈む。これは毎回の事だ。

「これからは変な事しないで下さいね？」

「……て事は！」

「許しますよ。但し、今回だけです」

「もうしない！絶対にしない！約束する！」

いつもの木兎の戻った所で、二人の仲直りは成立した。

「彼氏いるとか言っときながら、Aちゃんってボディータッチ多いよな～」

「何そのAがビッチみたいな言い方」

「最低だな、黒尾」

「ちょ、研磨そー言う意味じゃないって！やっくんも間に受けないで！」

黒尾が発した一言は、Aと仲の良い孤爪を苛つかせるには十分だったよう。
夜久も冷めたように黒尾を見ては、腰に一発蹴りを食らわせた。

「相変わらず音駒は騒がしいですね」

「梟谷に言われたくないですー！」

「ウチで騒がしいのは木兎さんだけなので」

そこを赤葦が呆れたように通過して行く。
黒尾も言い返すが、ピシャリと正論を言われてしまい何も言えなくなってしまった。

「ほら木兎さん。次試合ですよ」

「分かった！すぐ行くー」

そしてまたそこを、赤葦が折り返しで通過する。今度は木兎付きだが。