好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ29)

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29、合宿①④ ページ29

「おはよーございます」

翌朝。
昨日は木兎のせいでよく眠れなかったAが、大きな欠伸をして食堂へ足を運ぶ。

「おはようA。ちゃんと寝癖は直しなよ」

「はーい」

席に着く途中で赤葦に声をかけられる。
隣に木兎もいたが、お互い顔を合わせずらいのか、視線を逸らした。

「おい木兎。Aちゃん来てるぞ？」

いつもの様にAに抱きついて行かない為、黒尾が心配して木兎に耳打ちをする。

「わ、分かってるし」

「……どうした。お前なんかあったのか？」

「そうなんですよ。昨日木兎さんったら、」

「ちょ、あかーしストップ！！」

「何だよ。聞かせろよ木兎」

「いーから！早く飯食えって！」

木兎がなかなか答えないので、代わりに赤葦が口を開く。もちろん慌てて木兎が止めに入り、その場は強制終了。

「……おいA。なんかあったのか？昨日、部屋に帰って来てからおかしいぞ？」

「別に何もないよw早く食べよー？」

こちらもこちらで、同じ事を書かれている。
姉の岬は察しがついているのか何も言わない。しかし他のメンバーからは変な目で見られている。

「お前嘘ついたら舌引きちぎるぞ」

「悠里、怖い事言わないで！」

だからと言って、正直に言う訳にもいかない。

「押し倒された、なんて言えないわよね」

「……は？」

岬の一言で、女バレだけではなくその場にいた3校の部員達が声を揃えた。

「何でA言っちゃうの？！てか何で知ってるの？！」

「京治から聞いたのよ。木葉達の悪巧みもね」

「京ちゃん何で言ったの？！」

やはり姉とイトコには敵わぬと、つくづく思ったAだった。