双子やったなんて聞いとらん【宮侑】 (ページ23)

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屋上でページ23

Aside

貴｢お待たせ、侑。｣

侑｢待っとらんよ。へーきや｣

そう、屈託のない笑顔であたしを見る侑。

あたし達の間で沈黙がしばらく続き、

貴･侑｢｢あのさ/なぁ、っ！？｣｣

被ってしまった。

まずい、話を切り出しずらい。

なんて思っていると、

侑｢さっさ、先言ってええよ。｣

侑がそう言ってくれた。

貴｢じゃあ、話すね。侑はさ、最初あたしとあさを間違えて告ってきたよね？

正直、あの時はそんな事すらどうでもよかったし、侑の事なんて何にも気にならなかった。

けど、この短期間の間、侑と一緒に過ごして、すごく楽しかった。色んな侑を見れた。

バレーに対して真剣な顔、友達とはしゃぐ顔、そして、あたしといる時の顔。

あたし、気づかないうちに、そうやっていろんな侑に惹かれてたんだなって思った。｣

自分が思っていること、思っていたこと、全て丁寧に言っていく。

大切な言葉が、一番伝えたい言葉が、こぼれないように。

侑｢っ！？そ、それって…｣

貴｢あたし、侑が好きになってた。

自分でも気づかないくらい、あたしの中で、侑が大切な人になってた。｣

侑｢……｣

よし。言った。

あとは、最後に一言言うだけだ。

侑を、あさを、困らせない為の最後の一言。

貴｢あたしが言いたかったのはそれだけ。だから、

このフリはもうやめよう。｣

あたしは屋上のドアへと向きを変え、帰ろうとした、けど、帰れなかった。

貴｢？どうしたの？侑。｣

あたしの手首を掴んだままずっと下を向いている侑。

下を向いているせいで、どんな表情なのか分からない。

侑｢……ってへん……｣

貴｢え？｣

侑｢俺はまだ、何も言ってへん！｣

いきなりこっちを向いたかと思ったら、ムキになってあたしにそういった。

侑｢確かに間違えたのは俺や！

元々好きやったのも、彩咲ちゃんや！

けどな、Aと会って、話して、ホンマに楽しいことばっかやった！

Aの、バスケに真剣に取り組んどる姿も、俺に見せる笑顔も、いつからか、全部俺のもんにしたなった！

気づかないうちに大切な人になっとったのは、Aだけどちゃうで！｣

そう言って、侑はあたしを抱きしめた。

侑｢俺も…Aのことが好きなんや…｣