孤独な羊に愛を添えて (ページ9)

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少年は口籠る。

もしこの二人がヒトツメさんの言っていた人間ハンターだったら、今正直に答えてしまうときっとこの世界の何処かにいる弟もいずれ一緒に連れていかれてしまう。

かといって嘘を言うわけにはいかない。

どうしようと悩んでいると、ウサギは首を傾げている。

「……もしかして、帰りたくない理由でもあるの……？」

「あ、いや……」

「なら、俺と一緒に来るといい」

ニコッと微笑むキツネの男。

「で、でも」

「何、心配はいらない。俺は人間ハンター。例え人間が来ようとも、俺が君を守るさ」

「ちょ、ちょっと待って！僕がその子を連れていく！」

「はぁ？何言ってんだよ。俺が見つけたんだから俺が連れて行く」

「違う！僕だよ！」

言い合いを始めた二人の隙を突いて少年は駆け出した。

後ろから二人が追ってくる気配を感じるが、少年は構わず走り続けた。

しばらく走ると、いつの間にかさっきまでの風景とはうってかわり、賑やかな繁華街のような街が広がっていた。

少年は無我夢中で走っているうちに知らない場所に来てしまったことに気がついた。