#9到着 ページ10
太宰さんが電話を掛けてくれてから、約2分。
「いやぁ…それにしてもこの5分が暇だよねぇ……やっぱり敦君、迎えに行く?」
暇そうにソファに横たわって目を瞑っていた太宰さんが不意に敦くんを見て言った。
「えぇ!?入れ違いになったら大変ですよね!?」
「うーん……Aちゃ〜んあと何分〜?」
頬を膨らませながら再び目を閉じた太宰さんが問い掛けてきた。
腕時計を見ながら『あと15秒ですね』と伝えておく。
「じゃあそろそろかなぁ……」
太宰さんがそう言った瞬間、扉がバターンと開き黒い影が揺らめいた。
「あぁ、来たみたいだね」
少し不敵な笑みを浮かべて太宰さんが立ち上がる。
「太宰さん……!!」
扉の先にいたのは黒い外套に、鋭い目付きをした芥川だった。
『芥川!!!!』
思わず名前を呼んでしまう。
だって、ずっとずっと会いたくて、ずっと振り向いて欲しかったのだ。
でも現実は非情なもので、名前を呼んだところで「A……!?」ってなるわけ、なかった……
少し生気の薄れた唇を開いて芥川は
「誰だ、貴様」
と、冷たい瞳で見下ろしてそう、言ったのだ。
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