#2なんで? ページ3
駄菓子屋からの帰り道。
大分軽くなった財布に少し落ち込みながらも、
探偵社への帰途へついた時だった。
その人を見たのは。
人混みに紛れて、黒い外套を羽織った人が視界に入った。
その人はなぜか、昔の"仲間"に似ていた気がする。
(こんなところにいるはずない、よね)
頭を振ってある考えを吹き飛ばした。
早く乱歩さんにお菓子を届けなくちゃ……!
気持ちを切り替えてさほど多くない人混みの中を小走りで進んだが、さっきの考えが頭の中に残って、消えなかった。
"っ大丈夫か、A"
"困ったことがあったら僕に言え"
"皆で食べる飯は上手いな……"
.
「遅いじゃないかー!!」
扉を開けて早々乱歩さんから怒号を食らった。
『い、急いだ方なんですけど……』
「遅いよーどれだけ僕が腹を空かせて待ってたと思ってるの!?」
『す、すみません……』
「それで?お菓子は?」
『あ、これです』
持っていたビニール袋を乱歩さんに手渡す。
一応甘味ものを自分なりに選んだつもりだったけど……どうかな?
「うん!!僕の好み通りだ!!よくやった!!」
どうやら乱歩さんの理想通りの駄菓子だったらしく、ばしばしと背中を叩かれた。
声には出さないけど、
乱歩さん、痛いです……
「あれ?Aちゃんじゃ〜ん久しぶり〜」
後ろから声がして振り向くと太宰さんが国木田さんに首根っこを掴まれながら立っていた。
『あ!!太宰さん!!お久しぶりです〜』
太宰さんとハイタッチをすると小気味よい音が辺りに響く。
「あ、国木田くん、そろそろAちゃんにあのこと、教えてあげれば?」
あのこと?と私が首を傾げるのを無視して国木田さんがそうだな、と言って一度太宰さんを話した後、懐から一枚の写真を私に見せてくれた。
そこに映っていたのは……
長い黒外套を羽織り、鋭い目付きをした人物。
その目付きと特徴的な髪型は昔の"仲間"と合致した。
おまけに雰囲気もあの頃のまま。
『芥川……?』
思っていたことが声に出ていたようで太宰さんも、国木田さんもぎょっとしたような顔で私を見つめている。
「へぇ、Aちゃん、指名手配犯のこと知ってるんだ…」
含んだ言い方で微笑みながらそう言った太宰さん。
「え……?指名手配犯?」
芥川が?指名手配犯?
『何言ってるんですか太宰さん……芥川は……』
昔の大切な"仲間"のはず、なのに________
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