姉の元へ、大前姉弟 ページ7
幼い少女に続き、少しだけ背の高く眼鏡をかけた女児、長い髪を纏めた男の子、Aよりも少し細身の女子、一番背の高い男子と次々にヘリから出てきてはAに抱きつく。皆口々に「姉ちゃん」と零しているところを見ると、件の弟や妹たちだろう。
「美菜、龍之介、沙苗、孝太郎……」
「ねーぢゃあ、ごぁがっだぁ……」
「ねえちゃん……ゔぅ…」
「怖かったよね…ごめん、遅れてごめんね…」
「ん……ありがどう……」
「姉ちゃんがいなかったら、俺たち死んでたかもしんないんだよ。 姉ちゃんが気づいてくれてよかった…」
「うん、うん。怖かったね、よく頑張った。よく知らせてくれたね」
「ゔぅーっ……」
自分よりも背丈が大きい長男や同じくらいの次女に抱きつかれ、息も苦しいだろうが頭を撫でる手つきは優しい。慈愛に満ち溢れた表情は、先程の鬼神めいたものではなく弟妹の支えである姉そのものだった。
「寂しかったでしょうね、弟くんたち。僕もやっぱり、姉上と離れ離れになるのは嫌ですから」
「よっ、シスコン。お前姉ちゃんが彼氏連れてきてもいちいちチェックするタイプだろ。姑並みにネチネチ指摘するタイプだろ」
「ええ、それが何か?」
「私もアネゴが連れて来た男チェックするアルヨ!! どんな股の玉が来てもぶっ飛ばしてやるネ!!」
「ぶっ飛ばす前提じゃねえか。ハナから玄関入れねーじゃねーか」
「うちの敷地を跨ぎたければ、まず正面から堂々とインターホン押して来てくれなきゃ困りますね」
「ストーカーに聞かせてやりてえよ、そのセリフ」
一旦涙が引っ込んだのか、ずびずびと鼻をすすりながら弟たちが離れる。
落ち着いたところで、土方が弟らに声をかけた。
「江戸に着いて早々に悪いんだが、今回の事件の被害者として色々事情を調べなきゃならねえんだ。辛いこともあるだろうが、話を聞かせてもらえちゃくれねえか?」
被害者の彼らから聞ける話は、今回の事件の立証の重要な証言になる。かといって、彼らはまだ未成年だ。中にはまだ10にも満たない子どももいる。
真選組の隊士は、総じて強面であると同時に子どもの扱いには慣れていない。攘夷浪士の取り調べの方が、ぶっちゃけ幾分か楽である。
「もちろん、無理にとは言わねえが……」
「いいですよ」
応じたのは、髪を簪で纏めた次男だった。名を龍之介という。
「いっぱい、いっぱい言いたいことあるんです。全部聞いてくれますか」
「あァ。好き放題、ぶちまけろ」
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時