ちゃんと睡眠時間は取りましょう ページ46
さて、それから暫く。
大前兄妹はすっかり恒道館の門弟として馴染んでいた。新八も稽古に身が入り、毎日鍛錬を欠かさない。
駿河とは違う文化は珍しく、鍛錬が終わった後にはお妙がちょくちょく色んな店に連れて行っているらしい。先日は屁怒絽さんの花屋に行ったとか。
Aはというと、昼から夕方にかけて雑貨屋の針子のバイト、夜から翌朝まで『スナックお登勢』の調理担当としてキリキリ働いていた。
たまには休めというお登勢に対し、まだ動けますよと笑う。真選組で世話になった期間、厨房を留守にしていたからというのが理由らしい。
が、睡眠時間3時間生活を続ければどうなるか、分からないはずも無い。
その日、万事屋一行は久々に入った依頼から戻る最中だった。屋根の修理という、これまで何度も請け負ったことのある仕事である。
神楽が屋根を破壊し、新八がそれを直し、銀時がサボり、子どもたちが飛び蹴りを食らわせてまた一からやり直し。これを繰り返してなんとか依頼を終えた。
ホクホクしながら何を食べようか、銀ちゃん私ステーキ食べたいアル、バカヤロークリスマス以外にステーキなんざ食える訳ねぇだろ、といつも通りのやり取りをしているところで、それを見かけた。
「あ、Aアル」
「本当だ。あれ、ちょっと……絡まれてません?」
「あぁ?」
数メートル先には、ガラの悪い男2人に腕を掴まれたAがいた。抱えているのは針子の道具だろうか、必死に取られまいと足を踏ん張っている。
「おいおいネーちゃん、そっちからぶつかっといてそりゃねぇんじゃねぇの? こっちは腕治りかけだっつーのによぉ」
「慰謝料払ってもらおうか? その代わりにこいつ貰ってもいいんだぜ」
「やめ、はなっ……離し、」
「ぁあーん!? なぁに、聞こえねぇよネーちゃぁん」
「離してってば……この、馬鹿力…」
「ハハッ、俺たち男だしィ? 力つえーのはあたりめーじゃァん」
どうやら、Aと男の一人が接触したらしい。ぶつかってごめんなさいで済まないのがかぶき町である。
おかしい、と気づいたのはどうやら新八だけでは無かったようだ。合気道に長けたAのことだ、あんな男なら一捻りで伏せるだろう。
しかし、今はなんというか、覇気がない。
銀さん、と傍らの社長を振り向くと姿は無かった。あれ? と瞠目していると、先程の男たちが呻き声を上げた。
「いっ、いでェ!!」
「ったく、女一人に何人だコルァ。てめーらやる気あんのか?」
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りんこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!もし決まってましたら、大前兄妹の年齢を教えていただけないでしょうか? (2021年2月24日 15時) (レス) id: 5b2ad52f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月23日 17時