吸血鬼は音楽を好む【歌い手】 (ページ7)

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06:小さな音楽会ページ7

まふまふside
放課後の古い音楽室。
Aさんがピアノを弾いてる。
そらるさん達は聞き入ってる。

透き通るような綺麗な音。
でもどこか切ない？悲しい？
そんな感じが尚更惹き付けられる。

「凄い…」

ここだけ別世界のような感覚。
時間を忘れるくらいには夢中になってた。
いつの間にか外は暗くなっていた。
見回りの先生に見付からないように抜け出す。
皆と分かれ道まで一緒に帰りAさんと二人きり。

「えーと、Aさん？」
「ん？どうかした？」
「何でついてくるのかな？お家は？」
「私お家ないよ？」
「え？！」
「学校に住んでたからww」

ニッコリ笑うAさん。

「行っちゃ駄目？」
「ダメって言うか僕男なんですけど…」
「え、知ってるけど？」
「でしょうね！いや、そうじゃなくて！」
「まふ君は私なんかに手を出すようなおろかものじゃないって信じてるよ」

うーわー…これ脅迫じゃ？
いや、そんなつもりは最初からないけれど！

「というのは冗談！友達に迷惑はなるべく掛けないよww学校に戻るね！」
「え、今から戻るの？」
「うん。友達と放課後帰るの夢だったんだー！ありがとう、また明日！」
「あ、Aさん！」

元気に手を振っていなくなるAさん。

「行っちゃった…」

学校に１人でいたんだ…
寂しくないのかな？
寂しいよね、きっと。

なんとなく、方向を変え学校に向かう。
頭ん中ではAさんが弾いていたピアノの音が残ってる。

…そんな切ない音を出さなくて良いように、僕は友達だからAさんに笑って欲しい。