吸血鬼は音楽を好む【歌い手】 (ページ37)

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36:奇跡は１度きりページ37

Aside
奇跡とは何度も起きるものではなく、私とまふ君が出会ったのは奇跡ではなく必然。
血の契約がある限り私達は必ず出会う。
そしてそらるさんだって私が生きてる限り引き付けられる。
そういう縁があるのだと思う。
そして類は友を呼ぶというのか…吸血鬼の血が僅かに入ってる天月さんは純血種の私に引き付けられる。

…じゃあ、歌詞さんは？

まふ君もそらるさんも天月さんも歌い手で、歌詞さんも歌い手。
だから歌で繋がったのだと思う。
…いや、思ってた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

満月の日。

「A」
「うん？」
「僕、Aの事知りたい」

まふ君と夜中外で散歩していれば急にそんな事を言ってくる。

「ん？私の何が知りたいの？」
「誰に殺されたいの？」

一瞬顔が強張った気がした。

「どうして？」
「知りたい。」
「もう、いないけど、いる。」
「どういう事？」
「私はまふ君に殺されたいよ」
「…どう、して…？」
「私はねまふ君に流れている血と約束事をしてるの」
「約束事？」
「私を殺すって約束」

ニッコリと笑う。

「その血が流れてる人だけが私を人を殺めるようにように簡単に殺せる」

ゆっくり近付いてがまふ君の首に手を添える。

「私がトチ狂う前に殺してね？じゃないと全部壊しちゃうから」
「え、…？」

瞬間、香る血の香り。
クラッと視界が揺れた。
体に力入らなくて倒れ込む。

「A！！！？」

喉が急激に渇く。
霞む視界の中で後ろを振り向く。

「か、し…さん？」

後ろに立っていたのは間違いなく歌詞さんだった。