21:強制と練習 ページ22
そらるside
現在、真夜中の古い音楽室。
満月の日から２日目。
今日はまふの家には行かないらしい。
そして絶賛Aからノロケを聞いてる。
まふがどれだけ良い友達か、とか…
あとまふの血が美味しいとか…
「吸血らしい吸血もしてないくせに…」
「いいの！大丈夫！」
俺の誘いは断ったA。
つうかやっぱ吸血してないらしいし…
味見程度で抑えられてるのは病院からのを飲んでるからか…
俺の血を飲まないAに少し腹が立つ。
「なぁA」
「ん？」
「俺の血飲んで」
「足りてるから要らないよ」
「あそ…」
つまり足りてなきゃ飲むんだな？
ピアノを弾いてるAの後ろに立つ。
そして逃げないように抱き締めて首筋に牙を立てる。
「ちょっ…？！」
じゅる、ってそのまま血を吸う。
濃厚で甘く甘すぎず魔力の詰まった血液。
酔ったみたいに体が熱くなるし頭がクラクラする。
「っ、ばか、！」
夢中になりそうなとこでハッとして慌てて離す。
真っ赤に煌めく目が俺を睨む。
「ほら、足んなくなったろ？」
そう言って首筋を差し出せば躊躇わずに噛まれて吸われる。
吸血鬼らしく昔みたいに…
…あー、やべ。力入んなくなってきた。
「A…」
「っ、あ、……ごめん。」
「平気。煽ったの俺だし…それよりほらちゃんと生きてるだろ？」
「でも声かけてもらえなかったら危なかったよ？」
「声かけて大丈夫なら感覚掴むまで声かけてやる」
「待ってもう吸わないからね？！」
「はあ？何で？」
「むしろ何で？！」
「練習だろ。もしも時にまふを殺さない為の」
そう言えばAは悔しそうに下を向いた。
「それに純血種の血なんてそうそう口に出来ないし？」
「あれ？？？もしかしてそっちが本命だったりする？？？？」
「………いや？笑」
「今の間は何？！」
「気のせいだろww」
これでいい。
両者に利益があるようにすればAの罪悪感とかも減る。
純血種の血よりもただAの特別になりたいだけ。
そんなの言える筈もないけど…
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作成日時：2017年9月27日 14時
