吸血鬼は音楽を好む【歌い手】 (ページ20)

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19:友達と特別ページ20

そらるside
チンピラ達を放置して帰路を辿る俺達。
いつもは平気な筈の無言が辛い。

「Aちゃん…」
「ん？どうかした？」
「さっきの凄いね！どうやったかは知らないけど凄かった！」

天月が少し興奮気味で言う。

「うん。カッコ良かった」

歌詞太郎も頷く。

「A、さっきは助けてくれてありがとう」

まふも笑う。
それで安心したのか少し強張ってた顔が柔らかくなる。
やっぱり怖かったらしい。
拒絶されるかもしれないっていう恐怖。
きっとその恐怖に天月達もきっと気付いてた。
だからこそあえて拒絶はないと提示した。
どんなAでも多分この人達は受け入れられる。

「ありがと！実はちょっと怖かったんだよね、
あんな事出来るなんて不気味でしょ？」

素直に怖かったと告白するA。
すると直ぐに否定する３人。
最早「凄かった」「カッコ良かった」とか褒める。
本当に良い奴等。

純血種には本当に敵わない。

ただそれだけは痛感した。
男として守りたいけどAは守られるような器じゃない。

それにどうやら今回も叶わないらしい。
前世も叶わなかった。
身分違いだから諦めてたのに、まふを見てると諦めきれなくなる。
特別になりたいのになれない。

俺には何が足りない？