吸血鬼は音楽を好む【歌い手】 (ページ11)

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10:人間じゃないページ11

Aside
喉が乾く。
お腹が空く。

今はまふ君のお家。
まふ君が眠ってるのを確認して窓から出る。
半月が輝いている夜空。
夜道を歩く人がちらほら…。
その中から一人だけを選んで近付く。

まふ君を殺したくないよ。
でもまふ君は人間で私は吸血鬼。
吸血鬼のご飯は人間の生き血。
断食して理性をすり減らして暴走するより
別な人間の血を吸えれば大丈夫。

きっとまふ君は私の吸血は月1だと思ってる。
騙すようで悪いけど違うんだよ？
まふ君の血を吸うのは月1に抑えるって事。

「オロカモノーオロカモノー」

一匹のカラスが私を愚弄する。
誰かの使い魔なのだろう…きっと。

＿＿＿＿＿グシャッ

でも誰かの所有物とか関係ない。
うるさいカラスを黙らせる。
もう何も言えないように…
跡形もなく潰す。

…私はどう足掻いても人間にはなれない。

カラスのせいで赤く染まった手に嫌気が差した。

「人間になりたいワケじゃないよ…」

確かに人間は大好き。
でも人間になりたいワケじゃない。