朝比奈まふゆ・殺愛 ページ8
『私、人を殺したの』
その日は、やけに雨音が煩かった。
聞き間違いかと思って聞き返そうとしたが、やめた。
彼女の持つナイフからは赤い雫がぽたぽたと流れていたから。
「…何人？」
そう聞き返すと彼女は大きく目を見開いた。
そして心底おかしそうに笑う。
『あはは、君には私が人殺しをしそうに見えるんだね。心外だ』
「…だって人間、豚や牛を殺すでしょ？」
そういうとAはいきなり真顔になった。
感情の篭っていない瞳でまふゆを見つめる。
『君には、人間と家畜が同じに見えるのかい？』
深い暗闇をまとった瞳に吸い込まれてしまいそうで、目を逸らした。
「私は、」
答えに息詰まる。
「私とあの家畜の何が違うのか、わからない」
そういうと再び彼女は腹を抱えて笑いだした。
『私も同じ意見だ。私たちとあの畜生共の違いはなんだ？どうして人間は区別する？私にはそれがわからない』
溢れた涙を救う。
息切れした身体を落ち着かせようにも、思い出しては肩を震わせていた。
まふゆには、彼女がとても恐ろしく見えた。
狂ったように笑う彼女が。
『だから、こんな壊れた世界なんて要らないと思ったんだ』
ピタリ。首筋に金属が当たった。
触れた箇所から血が流れる。
『…怖くないのかい？』
「私には、感情がないから」
そういうと興味が冷めた。
そんな表情をして腕を下ろした。
『じゃあ、私はもう行くよ』
「どこへ？」
『君がまだ来れないとこさ』
そう言って窓に足をかける。
『愛しているよ、まふゆ』
そう言い残して、彼女は闇夜に溶けた。
きっとこの馬鹿げた世界に嫌気がさしたんだろう。
大きな羽を持つ彼女にはこの鳥籠は少し窮屈すぎたみたいだ。
雫が一筋頬を伝った。
その意味を考えることすら諦めて、思考を閉じた。
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勝利 - 今全て読み終わりました！色々な伏線回収がとても素晴らしいです！私もくるみっこ。さんを見習いたいと思います！リクエストです！司くんお願いします！なんでもいいです！お願いします！ (2023年1月13日 10時) (
レス) @page1 id: 018238cf3e (このIDを非表示/違反報告)
kono(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！！何度も読み返すぐらい好きなので嬉しいです泣 (2022年10月24日 21時) (レス) id: bdec48ea42 (このIDを非表示/違反報告)
噂のキャンディー(プロフ) - り、リクエスト良いですか…？まふゆ様で洗脳と司（闇堕ち状態）が依存してるニーゴミクみたいな性格の夢主！お願いします！ (2022年7月27日 22時) (レス) @page29 id: 97930f92c9 (このIDを非表示/違反報告)
スィー - 初コメ失礼します。何度読んでも『殺愛』が好きすぎる……。生きる活力をありがとうございます(o^^o) (2022年1月14日 19時) (レス) @page8 id: b22312ce74 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのp - やっぱり何回読んでも面白いなぁ (2021年12月13日 1時) (レス) id: c70a7d67d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみっこ。
| 作成日時：2021年10月22日 19時
