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いい終えたあと頭を下げて、待つ。
私の覚悟。私の言葉。伝わった、のだろうか。
少し遅れて、パラパラと拍手が聞こえる。
顔をあげると、皆が手を叩き、拍手していた。
その光景に、思わず目を見張る。
『地下街の悪魔だかなんだか知らんが、人類のために戦うと決意したからには覚悟しろよー!』
『地下街の悪魔とはいえ、お前の力より俺達の方が上だって忘れんなよ!』
かけられる、尖ってはいるが優しい言葉に視界が滲んでいく。
「ありがとうございます…」
ようやく、ここで、調査兵団で、力を使う、捧げる準備が整ったのだ。
・
(リヴァイside)
リヴァイ「…これはどういうお前の読みだ?」
隣で涼しい顔をして拍手してるエルヴィンに小さく耳打ちをする。
エルヴィン「Aは説得力がある。…特に、あの強い意思を孕んでいる瞳だ。従わざるを得ない_という状況になったこと、お前もあるんじゃないのか?」
幾度かのAの強い瞳を思い出して、溜め息混じりに「あぁ」と呟いた。
エルヴィン「彼女は思っている以上に強く、聡明だ。守ってあげる存在として扱う風に見せるより、彼女自身の言葉で言った方が説得されると思ったが_成功したようだ」
リヴァイ「あぁ。あいつは_強いからな」
もういいだろう。目に涙を浮かべ今にも溢れ落ちそうなAに近寄った。
リヴァイ「…大成功だ。お前は晴れて今日から調査兵団の兵士_自由の翼を手に入れた」
Aは拍手の中振り返り、微笑む。
「リヴァイさんのおかげです。
…ありがとうございます」
その屈託のない純粋な笑顔は、Aの本当の心からの表情で、何故か俺の心が揺れた。
リヴァイ「_後はエルヴィンに任せておけばいい。 とりあえず捌けるぞ」
Aと目があったらバレるような気がして、半ば強引に話をそらし、車イスを押すためにAの後ろに回り込む。
__ようやく、全てのいざこざを無くして、本当のAに会えた___そう思った。
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月29日 19時