45 茨と解呪。 ページ45
…
「なっ、狗巻くん……?!」
目を見開いて退こうと勢いよく床を蹴るが、呪言のせいで前のめりによろけてしまう。
「やめて、解いて……お願いだから、」
強く呪わないように発した
Aは呪いの通り触れようとする右手を左手で押さえ込もうとしていて、目には涙が溜まっている。
(……確かに、痛い)
ジリジリと焦げるような痛みがじわりと広がる喉。きっとこれは呪言を使ったせいだ。
そして、彼女が呪いによって触れようとする自身の左手が痛みに侵されていく。ほんの少しだけ、じわりじわりと。
それでも狗巻は辞めるつもりはなかった。
──独りは、寂しい。
それは狗巻も、悲しいくらいに知っていたから。彼女には僕達がいると、伝えたかったから。
「解いて狗巻くん、」
お願い、とギュッと強く瞑った目から、堪えきれずボロボロと落ちる涙を狗巻も静かに見つめていて。
──呪術師として生きるには、彼女はあまりに優しすぎるのだと、狗巻は思う。
大抵の術師は、多少の犠牲は仕方がないと割り切っていたり、大切な者だけを守るためにこの世界にいたり。自らの心を守る術を知っている。
心が壊れてしまえば呪詛師になるか、この世界から身を引くか。この世界から身を引けない術式を持つものだって居る。
しかもAのように、自らの術式を完全に扱えず危害を加えてしまう者は、後者の選択ができない。
だから。
「──“触れろ”」
今度はもっと強い
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時