44 茨。2 ページ44
…
「狗巻くん? どうし──ッ」
もうそろそろ夕食の時間でしょ〜なんて言いながら送り出そうとする彼女が急に蹲って目を見張る。
「ッごほ、げほ……っ、は、」
急に激しく咳き込み始めた彼女に慌てて背をさすろうとすると「待っ、て」と小さな声で静止される。
「ごめ、大丈夫。 急に咳出ちゃってびっくりしただけだから」
今日は結構、落ち着いてたんだけどねと力なく笑う彼女。擦るくらいさせてくれてもいいのに。
「狗巻くん、ごめんね、近い」
傷つけちゃうからとへにゃりと笑う彼女に、突然せりあがってくる焦燥に、抑えが効かなかった。
「高菜……明太子!」
どうして、頼ってくれないんだろう。大丈夫だから、言ってほしいのに。
「だ、い……じょ、ぶ」
自分も彼女と同じ目線になって、途切れ途切れの言葉を紡ぐ。初めてだった。
呪言で傷つけてしまうリスクを抱えてまで言葉にするのは。
だけど、そうしないと前に進めない気がした。
ずっとこのままな気がしたというのは、建前に聞こえてしまうかもしれないけど。
小さな小さな声が、小さな部屋にこだました。
────『“触れて”』
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時