出会って二日目 ページ3
一瞬、聞き間違えたのかと思った。このガキ今なんて言った? 俺が、神様? 頭大丈夫か。それとも本当に聞き間違えたのか。
「日本語、わかるんだよな」
『うん。日本人、だし』
「じゃあ頭打ったか」
『多分何回かは打ったけど、なんで』
「神様とか訳のわかんねェこというからだろ」
『だって、貴方。神様じゃないの?』
益々意味がわからなくなり頭を抱えて立原に視線をやるが、自分に聞かれてもというように肩を竦められた。最近のガキってのは皆こうなのか。漫画の読みすぎか、アニメの見すぎか。
とりあえず地べたに座る少女に目線を合わせるようにしゃがみ込み、じろりと不躾に見つめる。
髪色からしても元々色素が薄いのか、肌がとても白い。だが、ただ単に色白であるというよりはあまりにくすんでいた。それこそ、芥川のような白さだ。服も抗争に巻き込まれたことを差し引いても、どこか小汚い印象を受ける。線もやけに細い。
「手前、親は」
『死んだ』
「この抗争でか?」
『もっとずっと前』
「なんでここに居る」
『それは...』
言葉に詰まって俯いた彼女を訝しむように目を細めると、少女はふぅと一度息を吐いてから決意をしたように突然、上着を脱ぎ始めた。思わず、膝についていた肘から顎がずり落ちる。
「待て待て何やって」
『見たらわかる』
そう言って服をたくし上げて見せた腹部には、横一線に大きな傷跡があった。つい最近刃物で態と付けられたものだと推察できる。それが、雑に糸で縫われていた。
そのとき既に、俺の優秀な危機察知能力は警鐘を鳴らしていた。
嫌な予感がするぞと訴えかけていた。
『ここ、糸が切れて傷口が開いてる。中見て』
「は、中?」
『そう。中』
彼女が示した部分は確かに糸が何本か切れ、中が露出しそうになっていた。こんな光景何度も見たことがある。これ以上の惨状だっていくつも。それなのに俺は、この先を見て、吐き気を催さないでいられる自信がなかった。
ずるり。
少し開いた傷口から出てきたのは、袋。小さな袋が数珠繋ぎになって出てきたのだ。その中身こそ俺達が散々手を焼かされた武器商人が扱っていた麻薬だった。
「うっわ、俺、流石に無理ッス...」
口元を抑えた立原に続いて、俺も目を覆ってしまいたかった。
『親戚のおじさんが、言ってた。人間の身体の中は薬のいい隠し場所になるって。特に私みたいな子供のは』
言葉を放った彼女の顔は、どうにも無表情だった。
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苗代(プロフ) - 彩花さん» コメントありがとうございます。これからも頑張って更新していくので、ぜひご贔屓に。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - とっても面白くて一気読みしてしまいました!!!これからも頑張ってください!と (2018年7月17日 15時) (レス) id: 2058922f9b (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» よろしくお願いしますm(__)m頑張ってくださいq(^-^q) (2018年7月13日 18時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 初めまして、作品を好きだと言って頂けてとても嬉しいです。これからも出来るだけ頑張って更新を続けていくので、これからもよろしくお願い致します。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 初めまして(*^^*)こんにちは(・∀・)ノこの作品本当に大好きです(*≧∀≦*)更新頑張ってくださいq(^-^q)応援してます(σ≧▽≦)σ (2018年7月12日 23時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
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