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出会って十日目 ページ11

『ねぇ、何時まで此処に居るの』

「...」

正午を回った頃、いつまでも医務室の椅子に腰掛ける俺に耐えかねてAが声をかけた。誘いを断られて往生際悪く居座ることを決めた俺は当然その問いには答えない。

彼女は戸惑ったように視線をあちらこちらへと彷徨わせては、度々こちらの様子を伺った。その視線に交じる感情に気付くのに時間はかからなかった。

「わかった。手前、俺のこと心配してるんだな」

『...なんでそういう話になるの』

「出張後の首領への報告を終えて真っ先にここに来たから、疲れてるんじゃないかと勘繰ってるんだろ」

『別にそんなんじゃない』

「おうおう。ガキが余計な気なんざ回すんじゃねェよ。手前が時々部屋に遊びに来るエリス嬢の格好見て羨ましがってたのも、持ち込んだ西洋菓子一緒に食って目を輝かせてたのも、俺ァ全部知ってンだぞ?」

なんで、という言葉を発するより早く悔しそうに恥ずかしそうに顔を歪めた彼女ににんまりと笑い、足元に置いておいた紙袋を渡す。

『なにこれ』

「中を見りゃわかる」

眉間に皺を寄せて難しい顔をしながら紙袋を受け取ると、中を覗いてあっと声を上げた。どうやら何が入っているのかわかったらしい。心做しかきらきらとしたものが彼女の周りを舞っている。

『これ、服...』

「エリス嬢がAにどうしても着て欲しいからと首領に強請ったんだと。ちゃんとお礼言っておけよ」

『有難いけど。部外者のために財布の紐を緩めてくれるなんて、裏社会とやらのボスもお優しいのね』

「あの方は別だ」

口はつっけんどんに言い放ちながらも、その実顔は弛緩しきっていた。表現下手で顔に出にくい彼女にしては随分と珍しい。段々と此奴の気持ちや考えを読み取れるようになってきたとはいえ、やはり、わかり易い顔でいてくれた方が気持ちがいいものだ。

じゃあ俺は出とくから準備が出来たら来いと告げて離れると、少女は首を傾げた。

『なんで』

「なんでって出掛けるからだよ。早く着替えろ」

『本当にお買い物行くの?』

「行くに決まってんだろ。いいからはよしろ」

そそくさと退出すると、中からどったんばったんと物音が聞こえてくる。あのガキはどんなお転婆なお着替えしてるんだよ、全く。思わず笑みを零しながら、何処に行くのがいいだろうかと、この後の予定を考えた。

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苗代(プロフ) - 彩花さん» コメントありがとうございます。これからも頑張って更新していくので、ぜひご贔屓に。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - とっても面白くて一気読みしてしまいました!!!これからも頑張ってください!と (2018年7月17日 15時) (レス) id: 2058922f9b (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» よろしくお願いしますm(__)m頑張ってくださいq(^-^q) (2018年7月13日 18時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 初めまして、作品を好きだと言って頂けてとても嬉しいです。これからも出来るだけ頑張って更新を続けていくので、これからもよろしくお願い致します。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 初めまして(*^^*)こんにちは(・∀・)ノこの作品本当に大好きです(*≧∀≦*)更新頑張ってくださいq(^-^q)応援してます(σ≧▽≦)σ (2018年7月12日 23時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苗代 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年3月18日 20時

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