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第6話 ページ6

「中に必要なものは入れて置いた。あとは…お前次第だ」

男が牢から出ようとするので慌てて牢の入口に立ち、柵を握りしめて問いかける。

「貴方、本当になんなんですか…どうしてこんなにも優しくしてくれるんですか…!!」
「…助けたいんだ、お前を」
「…!!」

菅笠で今まで見えなかった男の顔が見える。
私はその顔を知っている。

「…あぁ」

男が牢に出た瞬間、頬に涙が伝った。
私はあの人を知っている。
全身の力が抜け、私は床に崩れ落ち静かに泣いた。
涙を着物の裾で拭いながら、写真を見る。
もう一度、会えるだろうか。
もう一度、昔みたいな生活ができるのだろうか。

「…やってみせる…」

私は男が置いていった巾着を手にし、お父様が来るのを待った。
グズぐすしていられない。
今日やらねば。
すると、足音が鳴り響いた。
お義父さまだろう。

「…準備をする。でなさい」
「はい」

ここからが勝負だ。
ここから逃げるには、唯一外に出られる瞬間、罪人の処罰を行う時しかないだろう。
私はお父様に用意された着物に着替える。
真っ黒な着物に。
懐にはきちんと写真と巾着袋をしまう。
身体検査などされないだろう。
今までずっと何もされなかったのだから。
私は刑場に真っ直ぐ向かう。

「お待たせ致しました」
「…そこに立っていなさい」

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作者名: | 作成日時:2019年8月29日 0時

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