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第4話 ページ4

狭い狭いお風呂場。
体育座りでないと入れない湯船。
水圧の弱いシャワー。
もう残り少ないボディーソープとシャンプー。
湯船に温かい湯は既に入れられてある。
私は体を心を休めるのに湯船に入る。

「…」

男、いや、お父様に言われたことが忘れられない。
忘れよう忘れようと、考えれば考えるほど鮮明に思い出す。

─お前がこれからは首を落とせ─

父親とは思えないような残酷な言葉。
昔からそうだ、そうだった。
私は娘というより利用する駒。
自分の都合よく動くものしか近くに置かない。
お母様は私の目の前で亡くなってしまったから、誰も助けてくれない。
自分しかいないのだ。

「…死にたい」

涙と共に思いが溢れてくる。
消えてしまいたい、いなくなってしまいたい。
逃げるのはとても大変だから、これ以上辛い思いをする前に…

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今日の夕食は焼き魚とご飯と味噌汁。
牢の中にご飯の並べられたお盆が届く。
食欲なんてあるはずもなく、喉が渇いたので味噌汁だけ飲み干した。
目の前には菅笠で顔が見えない、腰に刀を差した男が椅子に座っている。
腕を組んで居眠りをしているので、食べているかなど見ていない。

「…下げてください」
「いいのか。沢山余っている」
「いいんです。お腹すいてなくて…」

牢の入口近くにお盆を置き、部屋の隅に座り込む。
膝を抱え、顔を伏せる。
もう何も考えたくない。

「1口ぐらい食べたらどうだ」
「…」
「焼き鮭美味しいじゃないか。冷めるぞ」
「いい加減にしてください!!…ぁ」

まるでお父様のようにあれをしなさいこれをしなさいと言われつい、カチンときてしまった。
気づいた時には声を上げており、涙で視界は見えなかった。

「…ご、ごめんなさい…食べます、食べますから…許して…」

私は慌てて盆を取りに行くと、男が牢に近ずいてきた。
菅笠を指でつまんで下に下げて私に顔が見えないようにして腰を低くした。

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作者名: | 作成日時:2019年8月29日 0時

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