23.がんばらない ページ31
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部活終わり。
最近、白鷺は慣れてきたのか着替えるのが早くなった。まあ元から早く寮に帰りたいっていうのはあったんだろうけど。
背を壁につけて何か真剣にスマホを見る白鷺の後ろから名前を呼んだ。
「白鷺」
「!!
……はや、かったねぇ」
「俺も早く帰りたいし」
「そーね」
…………。
今、何見てた?俺の目に写ったのは昼に話題になったあの俳優の記事。
興味ないって言ってたし、特に俺が心配する理由もないけど…変だな。
それから聞くことも出来ず、寮について別れた。
「なぁ、太一」
「どしたの、賢二郎」
「日本に帰ってくる俳優の名前、なんだっけ」
調べる気力もなくて太一に訊ねると相変わらずの無表情のまま、首を傾けた。
「さー、なんだっけ。
というか、俺お腹空いたし食堂行こ。白鷺いるかもだし」
「聞いても答えてくれないだろ」
「なんで?」
「……別に」
聞いてもじゃない。俺が聞けない。
少しでも拒絶の反応をされるって考えるだけで嫌だろ。それにそれだけで今まで築いてきた関係も何もかも崩れるって考えたら余計に。
食堂に行くと白鷺の姿は無かった。
まあ、確かに最近は会わなかったな。
「あ、バレー部おふたりさん。こっち空いてるよ」
後ろから声をかけてきたのは山田さん。
見慣れたハヤシライスを食べながら、手招きしてきたから厚意を無駄にする訳にもいかず、座る。
「…山田さん、白鷺知らない?」
「え?なになに、喧嘩したの?
てゆーか、バレー部って東京合宿あるんでしょ?白鷺の実家って東京だから今は荷造り中なんじゃない?」
「あー……」
忘れてた。
確かに実家に帰るって言ってたな。
太一は唐揚げを口に頬張りながらまじか、なんて呟いていた。
「じゃあさ、日本に帰ってくる俳優の名前って分かる?」
「おうおう、川西くん。
ウチら初対面だよ〜、…えっと名前だっけ。名前は『サクマ』だよ。ほらこれ!イケメンだよね!!」
ずいっとスマホの画面を押し付けられて見てみると、確かに顔は整ってる。
元から大きいであろう目を細めて笑ってるその顔はどこか既視感がある気がした。
「これ、誰かに似てない?」
「俺も思ってた」
どうやら、太一と同じことを思っていたらしい。
でも名前にも聞き覚えないしもちろんこの『サクマ』にも会ったこともない。
飯を食った後も考えるけど分からなくてモヤモヤした気持ちを抱えたまま、合宿の日になった。
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ろい(プロフ) - ヒナさん» 果たしてオチはあるのか…??(すっとぼけ顔)コメントありがとうございます、更新頑張ります! (2020年6月24日 21時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ - 落ちはあるのか…?あるなら白布がいいなぁ、夢主可愛い!更新頑張ってください! (2020年6月7日 12時) (レス) id: fe45ff59f5 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - ryonさん» 可愛いですよね分かります(真顔)。応援ありがとうございます! (2020年3月8日 13時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ryon - え?夢主ちゃんて、可愛いすぎ、、 めっちゃ応援してます! (2020年3月6日 9時) (レス) id: 89b2666c2a (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 青い夕日さん» ありがとうございますううう!!自分で書いてて言うのもなんですけど夢主ちゃん可愛いですよね!!更新頑張ります! (2020年3月5日 22時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2019年3月8日 22時