22.がんばらない ページ30
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「私ね、最近思うんだけど」
今日最後の授業が終わったと共に死んだ目をした白鷺が不意に声を上げた。
「お世話係がいるなら、お世話される係もいるんじゃないかなって」
「…それで?」
「あれ……、何言おうとしたんだっけ」
こてん、と首を傾けて目線を上にあげて考える白鷺。
……一言で言うなら最近の白鷺はおかしい。詳しく、と聞かれれば難しいけどなんかおかしい。
それからは先生が来て話すタイミングを失ったけど。
考えるのは目の前の席の奴のこと。
これから合宿があるのにボーッとしてるし、空元気って感じがやけに伝わる。
先生の話を聞き流して自分の鞄と白鷺の鞄を持つ。
「ほら、早く」
「…うん」
仲がいいって言ってもやっぱり触れられたくないことっていうか、言いたくないことぐらいあるわけで。
そういうところはちゃっかり線引きしてやがるから、聞こうにも聞けない。
「ごめん、白布」
「何が?」
「鞄、とか色々」
目線を合わさずそう言う白鷺の顔、というより頬を下から掴む。
「別に俺は気遣われたくてした訳じゃないんだけど」
そう言うと白鷺は顔を掴まれてる手からなんとか抜け出して、絵に書いたみたいに笑った。
「じゃあ、これからもよろしくね。お世話係」
「そういう意味でもない」
まあ、お世話してやらなくもないけど。
ちなみにニコニコ笑っててムカついたから、デコピンしておいた。
_____
「白布〜」
いつもの放課後練習。
白鷺からタオルとスポドリを受け取って他の奴にも渡す姿を目で追う。
「けんじろー」
「太一、重い」
肩に寄りかかって体重をかけてくる太一を押しのけてタオルとスポドリをカゴの中に入れる。
「白鷺のこと見てるから何かあったのかと思ってさ」
「……別に」
サッと、目を逸らしてそのままコートに向かう。
「…白鷺曰く、お世話係だって」
「っ、ぶはっ、!
…………あ、そういえばまた噂になってた」
「は?噂ってなに」
「白鷺と賢二郎の。付き合ってるのかーって聞かれたから否定しておいたけど」
言われるの、慣れたなそれも。
最初は戸惑ったっていうか、気まずかったけど白鷺は平然としてたし俺も気にするのも馬鹿らしくなったから今じゃ普通。
「2人が付き合えば俺も笑顔でうんって言えるんだけど」
「……」
「白鷺〜、お前のお世話係すっごい暴力的だけど」
ムカつくからとりあえず腹パンしておいた。
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ろい(プロフ) - ヒナさん» 果たしてオチはあるのか…??(すっとぼけ顔)コメントありがとうございます、更新頑張ります! (2020年6月24日 21時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ - 落ちはあるのか…?あるなら白布がいいなぁ、夢主可愛い!更新頑張ってください! (2020年6月7日 12時) (レス) id: fe45ff59f5 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - ryonさん» 可愛いですよね分かります(真顔)。応援ありがとうございます! (2020年3月8日 13時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
ryon - え?夢主ちゃんて、可愛いすぎ、、 めっちゃ応援してます! (2020年3月6日 9時) (レス) id: 89b2666c2a (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 青い夕日さん» ありがとうございますううう!!自分で書いてて言うのもなんですけど夢主ちゃん可愛いですよね!!更新頑張ります! (2020年3月5日 22時) (レス) id: 9883bc7676 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろい | 作成日時:2019年3月8日 22時